ぼくは、あっち。
 

 
 指が増えて、どんどん僕の身体は、押し広げられていく。
「はぁっ…、はぁっ…」
 
 ここに……先生が入ってくる……
 そう思うだけで、ますます身体が、熱い。
 
 
 でも同時に、脳裏に暗い影が過ぎる。
 
 
 あ…もう、先生がくる………
 
 ──そう思ったとき、僕は先生の頭を思いっきり掴んでしまった。
「……せ…せんせいっ! まって……待って!!」
 僕は、どうしても聞きたかったんだ。
 最後の不安。これを解消しないと……僕は………
 
 先生が身体を起こして、僕を見つめる。
 その瞳に、問いかけた。
 
「濱中先生……僕は、先生の…通りすがり……じゃ、ないよね……?」
「…………」
 
「……僕、それは…嫌なんだ」
「…………」
 
「先生には一瞬でも……僕には、一生だから……」
 
 悲しくて、それ以上続けられなくて、唇を噛んだ。
 僕の”期間”が終わったら、新入生を相手にするなんて。
 そんなの……卒業した後、僕…どうしたらいいの……?
 
 
 
「野原……」
 
 大きな掌が、僕の頭をなでた。
「……俺を、なんだと思ってるんだ?」
「……」
「さっきは怒りにまかせて、おまえに酷いこと言ったけど」
 苦笑いを浮かべている。
「俺だって、傷つくぞ」
「──先生!」
「俺だって、一生だよ」
 僕をくるみこみ、肩をこれ以上ないくらい抱きしめて…
「俺の一生の中で、こんなコトは…おまえ一人きりだ」
 
「せん…せい……」
 熱い感情が、僕を満たす。
 聞きたかった言葉…聞きたかった想い。
 やっと僕は、怖がらずに先生をもっと好きになれる。
「先生……ごめんなさい……ごめんなさい…」
 自分勝手に想い悩んでいたことに、酷く反省した。
「わかったら、もうグダグダ言うな」
 叱りつけるように、厳しく言われた。でも、その口元は白い歯を見せて綻んでいる。
「……ハイ」
 その言い方…先生らしいな…。僕は泣きながら、くすりと笑ってしまった。
「お、やっと笑った。野原はそうでなきゃ」
「………」
「どんなに失敗でも、お前はいつも笑ってるだろ?」
「………」
「実技がヘタな分、他でカバーしようと一生懸命で」
 
 
「俺、ずっと見てたんだぞ」
「……せんせい…」
 胸が熱い。 
「ぼくも……。僕も…先生が僕を見捨てないから……」
 身体が熱い。
「僕は嫌われないようにって頑張った。濱中先生に嫌われるのは本当に……怖かったから」
 体育の時間が憂鬱だったのは、いつか濱中先生に呆れられてしまうんじゃないかと、怖かったからなんだ。 
 
「……嫌うわけない。こんな一生懸命な、子ねずみ」
「んあぁ!」
 僕は胸に抱かれたまま、後ろに指を差し込まれていた。
「あッ、せんせッ……」
「もう限界だ。……これ以上焦らさないでくれ」
「ん……はぁ……」
 先生は、ジャージのズボンを下げて、熱くなったものを取りだした。
 
 ───ぅわあ…
 僕は、思わず見つめた。
 
「そんな、凝視すんな」
「せんせいの……おおきい」
「これ、…おまえの中に、挿れる」
「……うん」
「…このままの体勢で、いいか?」
「───え?」
 聞かれた意味を理解出来ないまま、足を開かされ、先生の腰に跨った。
 両脚は膝を曲げないで、開いたまま先生の両側に投げ出されている。
 僕を支えているのは、先生の両腕だけだった。
「重力にまかせて、身体を落としていけばいいだけだから」
 ──えっ!?
 先生の手が、僕のお尻を割り開く。
 そして、先生の熱く勃ち上がっているモノへ誘導して、僕の蕾をあてがった。
「────っ!!!」
 もの凄い圧迫感、異物感!
「あっ! …ああぁ!!」
 何かが僕に入ってこようとする。
 あまりに大きすぎて、僕は反発を繰り返す。
「んん、んあぁっ!…せ…先生……」
 先生の肩にしがみつき、必死に身体を支えた。
 先生は僕の逃げようとする腰を、お尻を下から支えて逃がさなかった。確実に下に降ろしていく。
「先生…せんせい!」
 僕は、叫ばずにはいられない。
 押し開く痛みと、侵入する異物感。
 これだけだったら、とても我慢できなかった。
 
 ───先生が熱い…!
 
 痛みと刺激と、先生の熱が、僕を貫く。
 そこから、体中が熱くなる。
 あんまり痛くて頭がガンガンする中で、身体の奧を突き上げてくる何かが、背中を這う。
 ……せんせい……濱中先生………!
 その圧迫感、重量感が全部、濱中先生のものなのかと思うと、痛みより嬉しさが込み上げてきた。
 …この痛みだって、先生が僕に与えているんだ。
 その気持ちが、ますます僕を熱くした。
 
「ぅ……」
 全部入りきって、僕のお尻は先生の腰の上に座った。
「はぁ……先生…先生……」
 首にしがみついて、呼び続けた。
 ちょっとでも動くと、繋がっているそこが、すごい刺激を受ける。
「野原……」
 先生が、しがみついている僕の腕を剥がした。
「……濱中先生」
 ぎゅっと瞑っていた目を、少しあけると、苦しそうな顔の先生がいた。
 ふたりとも、呼吸が荒い。
「……野原。ホントに、頑張り屋だな」
 にやりと笑って、頭を撫でてくれた。
「……ハイ」
 嬉しくて、僕も微笑んだ。
「んっ」
 急な口づけ。
 先生の舌が、強引に入ってくる。
「んん──っ!」
 ………あッ!
 僕の中で、先生が大きくなった。そう思った瞬間、身体が浮いた。
「──あっ、ぁあ!!」
 僕は繋がったまま持ち上げられ、そして手を離して落とされた。
 先生を咥えこんだ蕾と、あたっている内壁がこすり上げられた。
「ぁあっ、ああっ!……」
 仰け反って喘いだ。何度も何度も、浮かせては落とされる。
 その度、腰から全身に痺れが走った。
 落とされて打ち付けられる衝撃が、激しい疼きとなって腰から身体中に散る。そして、体内の先生を揺さぶる。
 
「せ…せんせ……」
 支えていられない。腰が震えて、手が痺れて…落とされたときにバランスを取れなくなっていた。
「も…ムリ……もう…むりぃ」
 首にしがみついて、必死に訴えた。
「……そのまま、しがみついてろ」
 動きを止めて、僕の背中を抱きかかえた。
 あっと思った瞬間、背中を地面に付けて仰向けにされた。
 先生は、繋がったまま身体の上下を入れ替えて、僕を腕の下に抱き込んでいた。
「んっ…ああっ!」
 接合部分がすごい刺激を受けて、僕は仰け反った。
「野原…動くぞ」
「え…、…や…」
 僕の折り曲げた膝を、外側にぐいっと押し開く。股関節が開いて、先生をもっと受け入れやすい体勢にされた。
 動き出した先生の腰が、さっきとは違う強引さで出し入れを始めた。
 僕は頭も身体も、まだ事態を飲み込めていなかった。体内をこすられる感覚に怯えた。
「あぁ! せんせ…まって」
「待たない。…どんだけ待たせんだ」
 僕の上で、動きながらにやりと笑う。
「ん……ああぁ!……」
 出入りする熱いモノが、僕を突き上げる。
 内蔵が揺さぶられて、蕾がめくれ上がった。
 
 ……すご……激しすぎる………せんせい…
 
「ぁあっ……、はぁッ!」
 喘ぎながら、夢中で先生の首に手を伸ばした。
「野原……おまえの中…熱い」
「うん…先生も…僕の中……熱い…」。
 僕の前で熱くなってるモノに、先生が手を伸ばした。
「あぁっ!!………」 
 身体全身が、びくっと震えた。
 後ろとは別の、直接的な快感が、腰から背中へ駆け抜けた。
「くっ…すごい、締まった……」
 先生が呻いた。
「んぁあ、せ…せんせい…、それ……やめ」
 激しい衝撃に、身体が着いていかない。快感なのか、苦痛なのか……
 打ち込まれる熱いかたまり、扱き続ける先生の手。
 握られた指の一本一本が熱い。親指で先端をこすりながら、全体を上下されて……
「あ……ダメ……僕、もう……」
「…………野原!」
「──ああぁっ!」
 
 激しい痙攣と悲鳴。
 僕の中で、先生が…! 熱い迸りを体内に感じたとき、僕も絶頂に達した。
「ん……ぁはぁっ……」
 出しきったあと、息を吸うときも激しく喘いでしまった。
 地面に、目眩で貼り付けになる。
 濱中先生が、僕が汚した掌を舐め上げた。
「あ……」
 ダメです、そんなの……!
 そう言いたくて、慌てて起きあがろうとした。
「! ぁあ……」
 まだ繋がっているそこに、刺激が走った。
「野原……」
 悶えた僕を抱きしめて、先生が言った。
「可愛いおまえのモノ、……こうすんのは当たり前のことだ」
 
「………せんせい」
 
 目が潤む。
 入ったままの先生が気持ちよくて……身体がまだ、快感を離さない。
 


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