僕のお仕事 index
12.堂目さん  
1.2.3.4.5.
 
  

 
「光輝さん……。僕をトイレに連れてって……」
そう言って、僕は両手を差し出した。 
 
「……これを穿くのは大変だから、狭くてトイレはムリだ。」
「え?」
「……ここで、穿かせてやる」
「ちょ……」
光輝さんは、いきなり僕のズボンに手をかけた。
ベルトを外して、ジッパーを降ろす。
「……やめてっ!」
場所が場所だ。公園の端っこ。
木に囲まれている公園とはいえ、一本隔てた向こうはすぐ道路で、出入り口も近い。
いつ人が来るかも分からないのだ。
湖の方を向いていて、周遊歩道に背中を向けてても、何をしているかぐらい判ってしまうだろう。
光輝さんは僕の焦りに構わず、ズボンを脱がそうとする。力が入らなくて、悔しい。
「や……光輝さん、お願い……あっ」
腰に外気が触れた。ヒヤッとする。
下着を降ろされたとき、勃起したペニスがぶるんと揺れた。……恥ずかしい。
僕は下着とズボンを膝まで下げた、情けない格好で光輝さんの前に横たわっていた。
お尻が直接ベンチに着いて、すごく冷たい。
光輝さんは、黙々とベルトを装着していく。
片足のズボンを全部脱がせると、ベルトの間につま先から足を通す。
通し終わったら、すぐに足をズボンに戻す。
次に、三角形の皮の部分を、前に当てるために、真ん中に開いた穴に、僕のペニスを通す。
完全に上を向いてしまっているので、摘んで下を向かせないと穴に通らない。
光輝さんの指が触れるたびに、ぴくりと震えてしまった。
通したあと、そこに縫い付けてある革ベルトを僕のペニスの根本で回して、留め金できつく締め上げた。
「あっ……?」
吐息が漏れる。何でこんな事するの……?ちょっと怖くなった。
「大丈夫か?すぐ済むから」
真剣な声で言ってくれる。
僕は、涙目で作業を見守った。
光輝さんの背後、公園の入り口も気になった。幸いまだ誰も来ない。
足を通していない方は、調節金具で輪にしてあるだけで、外せば腰の外側で繋ぎ直せた。
腰骨の横でぎゅっと、締め上げて弛みを無くす。
「んあ……」
思わず声を上げた。エネマの板を強く押し上げてくる。今までにない密着度で体内に収まる。
下着とズボンを手早く引き上げると、何もなかったようにジッパーを上げてベルトを締めてくれた。
「……苦しくないな?」
ふう……と溜息を付きながら、聞いてきた。
僕はこくんと頷いて、お礼を言った。
「ごめんなさい、こんなことになっちゃって……」
「……巽のせいじゃない。気にすんな、そんな事」
頭にぽんと手を乗せて、髪の毛をくしゃくしゃにされた。
光輝さんに抱き起こされて、立ってみた。
「あ……」
ゆるく抜け落ちてしまう感覚は無くなった。
その分、締める力がいらなくなって、それは助かった。
でも、それ以上に内部の責めがキツクなっている。
これこそ、歩けるのか?と、思うほど、前に当たってくる。
「はぁ……。」
無意識に、喘いでいた。
「ムリするな。やばかったら言えよ」
「……ハイ」
何がやばいのか……。もうエネマが外れることはない。
後は、歩くしかないのだ。
僕は、ゆっくり一歩を踏み出した。腰から背中に痺れが駆け上る。
前に出した足が、地面に着いたかも判らない。
「あっ……はぁ……」
進むごとに、声が出てしまう。
ただのバイブより始末が悪い。よっぽど高性能な玩具だ。
歩くだけで、後ろでセックスしているようなものだ。
……と、思う。まだしたこと無いから、わかんないけど。
万歩計を見ると、やはりあまり進んでいない。
いったいどう歩いたら、振れるんだ、この針は!
僕は思いきって、普通に弾みを付けて一歩踏み出した。
「んんぅ……!」
「馬鹿、何やってんだ!」
光輝さんがびっくりして支えてくれた。今のは自殺行為だった。
「あぁ………」
歩くのが厳しい。だんだん射精欲が高まってきてしまった。
光輝さんに縋り付く。
ヤバイってゆうのは、このことか……。
それでも少しずつ歩いた。もう万歩計なんて、知るか。あとで手に持って振ってやる。
「……巽?」
池の周りを3/4週したあたりで、限界が来そうになった。
ここでイっちゃったら、えらいことになる。
立ち止まって、光輝さんを見上げる。
「……ヤバイんだな」
目を細めて、顔を顰める。
「うん……かなり」
上気した顔が熱い。身体も下半身も、何もかもが熱かった。
いきたい。いきたい。いっちゃう。
頭の中はそれしかない。
どうしたらいいのか、判らない。これ以上動いたら本当にいってしまう。
でも…でも、何かが変なんだ……。この身体の高まりかたは……。
「―――!」
僕は愕然となって立ち尽くした。
その時やっと、さっき僕の根本に嵌められた革ベルトの意味がわかった。
体内の物ばかり気になって、身体の異変には気が回らなかったから。
その事実は、僕をさらに苛ませた。
真っ青になって、光輝さんを見上げる。
「……これ、ひどすぎる……よね?」
拷問と同じだ。
僕の身体は内側から責められて絶頂を目指すのに、ペニスの根本をベルトで締められて、射精出来ないようにされていた。
歩けば歩くだけ、否が応でも射精感が高まってくる。
普段ならとっくに達してる程の快楽を与えられているのに……。
さっきから僕は、いきそうになっていたんじゃなくて、いきたいのにいけない生理現象のループに陥っていたのだ。
「………っ!」
唇を噛み締める。ここまでする意味が、わからない。
光輝さんも、今は助けにならなかった。
救いを求めた視線の先には、苦しそうな顔が無言でそこにあるだけだった。
僕は心底、悲しくなって腹も立った。
睦月さんも、光輝さんも、社長にも。……こんなレポ、必要があるとは絶対思えないよ。
―――寄ってたかって、僕を虐める。
一生懸命……一生懸命、言われたことをやってるのに。……頑張っているのに。
悔しくて、涙が滲んできた。でも、泣くのはもっと悔しい。
こんな風に考え込んでいる間も、身体は熱くてしょうがなかった。
「……んっ…」
……いきたい、いきたい、いかせて…
下半身が叫んでいる。脚がガクガクして光輝さんにしがみついていないと立っていられなかった。
「はは……イけないなら、困ることなかったね……」
僕はもう、どうでもよくなって光輝さんから離れようとした。
それが失敗だった。
「あっ」
バランスが取れない僕は、またつんのめりそうになった。
後ろから光輝さんが、僕の腰に腕を回し、引き上げる。
 
「―――!!あっ」
その瞬間、全身に痺れが走った。
「……あっ、ああぁ!!」
下半身から、もの凄い快感が突き上げてくる。
身体が二つに折れて、背中が丸まる。ベルトのせいで引っ張られたエネマが、中で動いた。
体内でディルドが、僕の前立腺を激しく擦り上げた。
「やっ………ああぁぁ!!」
宙に浮いた足をバタつかせて、腰に回された腕に爪を立てた。
快感、快感、快感!
下から突き上げてくる絶頂が止まらない。仰け反って嬌声をあげた。
「……ああっ、はああぁ!」
背中を貫き脳髄を痺れさせる。
おあずけ状態だった僕の身体は、気を失いそうなほどの絶頂を、際限なく貪った。
目がチカチカして、一瞬何も見えなくなった。両足の先まで痺れて、突っ張る。
「あっ、はあぁっ、………」
余韻すら、激しい。呼吸ができない。まだ突き上げてくる。
「ぁぁ……はぁ……」
何がどうなったのか、わからない。
僕は今、絶頂に達してしまった。もの凄い快感に襲われて、身体全体でこれでもかと、味わった。
ものすごい脱力感。まだ快感の波は引ききらない。足が痙攣したようにヒクついている。
それなのに……
 
「こ……こおき…さん?」
僕は光輝さんに、助けを求めた。この状態を説明してほしい。
光輝さんは、両腕を僕の腰に巻き付け、引っ張り上げているので、僕は手も足も宙にういて、まるで脇から抱えられた犬のようだ。
 
「僕……いっちゃった」
 
なのに……、何で射精欲が残っているのだろう。ズボンの前が気持ち悪くもない。
「ドライオーガズム。射精しないで達したんだ」
頭の上から、バリトンが降った。
ドライ……なにそれ?意味がまだ分からない。
ともあれ、達したことで僕の身体は少し満足していた。
気怠くはなったけど、さっきの興奮状態よりは全然マシだった。
 
歩けるかも…。
「……降ろして、光輝さん」
一波が過ぎ去って落ち着いた頃、足先を振った。
「もう、いいよ。終わりだ。」
「……え?」
「これ以上やっても、同じだよ。射精しない限り、またすぐ達きたくなる。辛いだけだ」
光輝さんは、僕をお姫様抱っこに抱えなおすと、車までずっと運んでくれた。
 
「もう歩かなくて、いいの?」
途中、聞いてみた。このまま帰ってしまっていいのか。帰ったら、本当に終わりなのか。
光輝さんは見上げる僕に、にっこり微笑んでくれた。
「よくやったな。信じられないくらい、根性があるな。巽は」
褒められた僕は、さっきまでの拗ねた気持ちなんか吹き飛んでしまった。
嬉しくなって、目を細めて笑った。ほっぺたがまた熱くなる。
 
助手席に降ろすと、周りを確認してから、全部を外してくれた。
エネマを抜くとき、やっぱり声をあげてしまった。
 
                                           

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