熱が出た。
高熱だ。39度以上ある。
ってことで、僕は町医者の待合室で、順番を待っていた。
ここの先生は、おばちゃんたちに人気があるらしい。
「若くてステキ」なんだそうだが……
今の僕には、そんな理由で混んでいることが、恨めしかった。
春先。
このシーズンになると、決まって僕は高熱を出す。
普段は、風邪も引かないのに。
それでもって、この時期は、仕事が忙しい……病気してる暇は、ないんだ。
入社してまだやっと3年目。病欠なんて、恐れ多いし、皆勤手当もほしい。
休んじゃいられないんだ!
「……ノサン…、コウノサン…」
──あれ?
「高野さーん!」
「……はい?」
まだまだ、僕の番じゃない筈だ。
でも、僕を呼んだらしい……虚ろな目で返事をした。
「かなり、様態が悪いようね。こっちへ来て」
看護師のお姉さんに支えられて、奥の個室へ連れて行かれた。
簡易ベッドが2つ並んでいて、カーテンで仕切れるようになっている。
採血とか、点滴とかするのに使う部屋だった。
「混んでるから、まだまだ先なの。ここで寝てて。辛いでしょ」
一年に一回しか来ないけど、その看護師さんを僕は覚えている。
姐さんタイプのしっかりした人。
僕より、ちょっと上…かなぁ?
「……すみません」
壁際のベッドに僕を寝かせると、黄色いタオルケットを身体に掛けてくれた。
「早く、言ってくれればいいのに。先生が気が付いて、こっちにって言ってくれたのよ」
「え……先生が?」
「順番まで、寝ててね」
お姉さんはカーテンを引くと忙しそうに、部屋から出て行った。
………ここの先生、僕、ちょっと苦手なんだよなぁ。
去年を思い出した。
やっぱり、熱で動けなくて。
でもどうしても仕事があったから、解熱剤だけ処方してほしかったんだ。
そしたら、優しい顔で微笑みながら、すごい怒られた。
仕事と命、どっちが大事なんだって。
そんな大げさな……
僕は笑ったけど、過労で倒れる人は、そう言うところで自分を休ませないって、真剣に怒って心配してくれた。
あの時の───
あの、にっこりの眼鏡の奥が、何となく怖いんだ。
「高野君」
カーテンが揺れて、背の高い白衣の人が入ってきた。
「うわ、先生……」
僕はびっくりして、声が上擦ってしまった。
「やっぱり、かなりの高熱だね」
僕の横で屈むと、額に手を当てた。
「汗も相当掻いてる。ちゃんと水分取ってる?」
僕は首を振った。
今朝起きて、水を1杯飲んだだけだった。
「あいかわらず、自己管理してないね」
クスリと笑う。
「先生……忙しいんじゃ……」
順番待ちの患者が、待合室にはたくさんいるはずだ。
眼鏡の奥を覗いてみる。優しげなちょっと垂れた目が僕をじっと見返した。
「うん、だから先に看ておこうと思ってね」
言いながら、ぴらっと僕に掛かっていたタオルケットを、足の方から捲り上げた。
「!?」
「病院に来るのに、こんな格好で……」
呆れた先生の声。
このまま会社に直行するつもりで、スーツを着込んでいた。
「え、ちょ……!?」
先生の手が、僕のベルトを外し始める。
「すぐ戻らなきゃいけないから、さっさと終わらすよ」
「え……?」
下着ごと、ズボンを足首まで引き降ろされた。
「膝を曲げて、少し立てて」
…………何!?
僕は朦朧とした頭で、焦って脚を閉じた。
腰が外気に晒されて、身体は熱いのに、鳥肌が立つ。
「ひゃあっ!?」
後ろに、…僕の……後ろのそこに、何か冷たくて硬い物が突っ込まれた。
「せ……先生、何!?」
「静かに。熱を測ってるだけだよ」
───ね……熱!?
そんなとこで、計らなくたって!
猫や犬じゃ、あるまいし……
でもそれは、すぐに取り出してくれた。
「うん……高いね39度6分」
「……………」
……あちゃー、高いなぁ…
高熱と恥ずかしいので、顔を真っ赤にさせながら、僕は呻いてしまった。
「……会社が……」
「まだ、そんなこと言ってる。肺炎起こしたら、入院だよ」
「それは……もっと、困ります……」
「とりあえず、解熱しようね」
「………ハイ」
って、………えっ!?
今日何度目の、叫びだ?
「せ……せんせいっ」
「静かに。自分じゃ入れるの難しいだろうから、ぼくが入れてあげる」
事も無げに言う、その手には解熱用の……座薬。
「いっ……いいです! ……自分でやります!!」
僕は手を差し出して、振り回した。それを先生から奪いたかった。
「これは体温ですぐに溶け出す。手に持ったらすぐ入れないと、いけないんだ。君の指じゃ熱すぎるよ」
「やっ……」
膝を強引に開かせると、銀色のフィルムを捲り上げて取り出した、真っ白いピストルの弾丸みたいなモノを、僕の後ろにあてがった。
「力抜いててね」
………ぅうっ……恥ずかしい……
「ん……」
ぬぷりと、挿入された。滑りが良く、思った以上に抵抗無く入ってきた。
「…………はぁ……!?」
問題は、その後だった。
「ぁ……せん……せい…?」
押し込んだ指を、更に奥に入れてくる。
「奥に入れないと、出てきちゃうでしょ」
……そうかも、しれないけど……
「や……そんなに……動かさないで……」
中で、先生の人差し指が妙に動き回っている。
僕は、腰に変なムズムズが湧いてくるのを、抑えられなかった。
「せん……せ……ぁあ……」
それ以上は、熱い吐息になった。
ただでさえ、熱いのに。
腰を中心に、血流が回り出す。
背中にじっとり汗を掻いてきた。
「ほんとに君は、頑張りすぎだから。暫くここで寝てなさい」
「………はぁ…」
返事がまともに出来ない。
腰をくねらせて、指から逃げようとしてるのに……。
「おや、元気になってきたみたいだね」
「!!」
こんな絶不調なのに……僕の股間はちょっと大きくなっていた。
「………せんせいぃ」
膝を閉じたい。そこを隠したい。指を止めて………!
僕は恥ずかしくて、どうしていいか判らなかった。
「いい加減、戻らないとね」
そんな僕の醜態を見下ろしながら、先生はクスリと笑った。
明るく染めた長めの髪が、さらりと揺れる。
「座薬が出てこないように、蓋しとくからね」
「……は?」
今度こそ、驚いた。
先生が取り出したのは……
「やっ!! ……いいです………そんなの!!」
──あ……ありえない!!
そんでもって、絶対、無理!!
僕の目は、ソレに張り付いてしまった。
こんな、公共の神聖な(?)病院に、とても不釣り合いなソレ!
何がムリって、デカ過ぎる、そんなの。
先生が握っているのは、かなり太めのバイブレーターだった。
「上反りで、カリ高。これは、気持ちイイよ」
にっこり微笑んで、指を増やした。
「……ぁあぁ!……」
「しっ……さっきの看護師が、来ちゃうよ。見られてもいいの? こんなとこ」
「────!!」
ズボンを降ろされて、男の先生に、後ろに指突っ込まれてる。
どう見たって、これは恥ずかしい。
先生の手にしているモノが、卑猥さをいっそう煽る。
しかも、僕………喘いじゃってるし……でも……
「そんなので、蓋しなくたって……」
「こうでもしないと、順番待てずに、会社に行っちゃいそうでね」
「─────!」
その可能性は、あった。
「……ぁ……ぁああぁ……」
あてがわれた、バイブの先端が、僕を押し開く。
………ぁっ、……んんっ……
入ってきた瞬間、そこがぞくりと疼いた。
指と入れ替わりのそれは、余りに太い。
「……んっ…ぅん…」
両手で口を塞いで、声を殺した。
「……はぁ……ぁぁああ…」
異物感が気持ち悪い。
「や…」
かなり、強引に押し込んでくる。
朦朧としてて、なにがなんだか…熱いの…苦しいの…気持ち悪いの…って…
───先生…やめて…タスケテ
でも…でも……なに……この感覚……
「ぁぁあ……せんせい……それ…大きすぎ……」
圧迫力が、凄い。
出し入れしながら、少しずつ奥を目指す。
体内をこするバイブの括れ部分が、僕の腰に異様な快感を生み出した。
……なんか……僕──どうしよう……
「ん…くぅ………」
…や…嫌だ……声が…
「……はぁ……せんせい……」
熱い吐息を吐きながら、僕はそれを全部くわえ込んでいた。
手だけじゃ抑えきれず、タオルケットを咥えて声を殺していた僕を、先生が見下ろす。
「目が真っ赤に潤んでる。高熱のせいかな?」
なんて言いながら、前髪を梳いて覗き込んでくる。
「…………!」
先生のせいでしょ! って言い返したかった。
「こっちも、すっかり元気だね」
「…………あっ」
完全に勃起している僕のそれを、ゆるゆると撫で上げた。
───うぁ!?
電撃が走ったみたいに、腰が震えた。
「…んんっ……はぁ…」
先生の、生の指……。
変に興奮して、後ろで咥えているモノを、ぎゅっと締めてしまった。
………あぁ……
先生はそんな僕を楽しそうに眺めて、そのまま下着とズボンを穿かせなおした。
股間は、アッパー状態。
黄色いタオルケットを、足先まできちんと掛けてくれた。
「じゃ、順番が来るまで、そのまま待ってて」
にっこり笑って眼鏡を光らせると、カーテンの隙間からするりと出て行った。
さらりと、髪をなびかせて。
「………え……先生!?」
ちょっと待って……
こんなもの挿れたまま……
「あ!?」
ブィィィィと、機械音が聞こえたかと思った瞬間、僕の中でバイブが振動し始めた。
─────やっ!! ……まさか!!
「………ぁっ、…ぁあぁぁ…!」
思わず、呻いてタオルケットに噛みついた。
振動が、僕の中でポイントを擦る。
前への刺激が、半端なくすごい。
「あぁ……やぁ……」
身体をくねらせて、僕は藻掻いた。
横向きになって、身体をくの字に曲げた。
────んぁああぁぁ!
もっと、刺激がすごい。
でも、仰け反っても、真っ直ぐになっても、快感は違う部分を襲ってくる。
「うあ………やぁ……せんせい……」
どうにかなってしまいそうで……。
隣の診療室にいる先生に、助けを求めたかった。
もうダメだ、いい加減、声が漏れる!
と危険を感じたころ、やっとバイブが止まった。
「………はぁぁ……」
深呼吸を繰り返す。
その時……
「高野君、入るよー」
声と共に、さっきの看護師のお姉さんがカーテンを開けて入ってきた。
「───!!!」
悶絶していた僕は、哀れな顔をしていただろう。
「ちょっと! …高野君、顔が真っ赤! 熱、上がったかなあ?」
心配して、備品のタオルで顔や首を拭いてくれた。
「すごい辛そう……。どんどん汗を掻いて、熱を体内から出そうね」
そう言って、用意してきたのは点滴だった。
「…………」
───どうしよう
咄嗟に身体を壁側に向けて、お姉さんには背中を見せていた。
「ハイ、仰向けになって。腕出して」
「…………」
僕は恐る恐る仰向けになった。さりげなく膝を立てて。
股間が脹れているのが、バレるんじゃないか。それが怖かった。
………それに。
またいつバイブが動き出すか、判らない。
緊張した僕は、呼吸一つ殺すような有様だった。
「ハイ、これでよし。2時間で終わるから、眠っちゃっていいよ」
緊張を勘違いされて、子供のようにあやされた。
「暑かったら、これ、取ろうか?」
タオルケットを剥がそうとした。
「や!! ……いいです! ……そのままで」
泡食った僕は、半身を起こして、叫んだ。
───ぅあああぁ!
失敗! 体内のバイブに圧迫されて……
「……そう? それじゃ、何かあったら呼んでね」
何も気付かずに、お姉さんは出て行った。
───はぁ、───焦った…
そのあと、何回かバイブは自動で動き出しては、止まった。
「…ぁあぁ………ぁぁあっ………!」
僕は、その度に悶絶した。
イキそうになっては、止められて……それを何回も繰り返す感じで。
……はぁ……はぁ……どうしよう……
取っちゃおうか。こんなの、いつまでも挿れとくもんじゃない……
僕は熱で朦朧としながらも、身体の疼きにほとほと参ってしまった。
お尻に嵌っているそのおぞましいモノを、何度も外してしまおうかとベルトに手を伸ばした。
しっかり元通りズボンを穿かせ直して、ベルトも嵌めている。
この中が、そんなになってるなんて……。そこが膨れてなければ、嘘みたいだった。
早く、外したい──でも、あの眼鏡の奥の瞳を思い出すと、何故か怖くてできなかった。
「……んっ……くぅ…」
まただ。……動き出した。
「あっ……はぁぁ……」
左手は安静のまま、右手で何とか口を塞いで。
動かしても大丈夫にはしてくれてるけど、何となく怖くて左腕には力を入れられない。
とにかく膝を擦り合わせて、振動と突き上げてくる疼きを、散らした。
──うあぁ……もう、いいかげん……ヤバイよ
「ふふ、いい声だね」
するりと、カーテンの隙間から、先生が入ってきた。
「───!!」
僕はびっくりして、声も出なかった。
全く気配が無かったから。
「………せん…せい……」
やっと絞り出した声は、酷く掠れていた。
口の中が、カラッカラだった。
「水も渡しておくように、指示するのを忘れていたよ」
そう言うと先生は、持ってきたペットボトルの水を自分の口に含んだ。
「───んっ!」
いろいろ無抵抗な僕にその唇を押し付けてくると、直接水を僕の喉に流し込んだ。
僕の喉は、音をたててそれを受け入れて、飲み下してしまった。
その間も、バイブは動いたままだ。
零さないように……なんて、集中できない。
唇から零れた、飲みきれない水が、幾筋も首まで伝った。
「───はぁ……」
先生を見つめる。
──止めて……早く……外して…
「そんな、熱っぽい目で見られると……ドキドキするよ」
また、前髪を後ろに梳いてくれる。
「……誘われているみたいで……」
「…………」
僕は首を横に振った。
先生は片手でタオルケットを足の方から捲り上げた。
さっきと同じように、ベルトを外して下着まで脱がせる。
僕の勃起したモノは、さっきよりもっと元気に勃ち上がってしまった。
……ひゃー、恥ずかしい……!
「ぁ…見ないで……外してください……早くはずして……」
じっくり覗き込むように、後ろに顔を近づけるから。
そこはもう、凄いことになってる。
止まらないバイブのせいで、腰ごと震えて、ゆらゆら揺れてしまう。
咥え込んでるそこも、いやらしくヒクついている。
「トロトロ……後ろまでびしょ濡れだね」
眼鏡が光ってよく見えないけど……先生の瞳は妖しく輝いている気がする。
「先生……僕……」
身体の高まりに、どうしようもなく焦れる。
まさかこんな所で、自分でするわけにもいかないし。
でも……ここまで高められた身体は……もう……
「そのまま、タオルケット噛んでて」
右手で僕の髪を梳きながら、左手でそそり立っているモノを掌中にした。
「……んっ!」
熱い! 先生の手……
───あぁ………すごい……
大きく上下する。
その度、鈴口やくびれを刺激して。
自分でするより、よっぽど生々しかった。
「……ぁあぁっ……せんせい……せんせい……」
もっともっとと、ねだるように腰を突き出してしまった。
気持ちよすぎて、苦しい。身体を反らせて、のたうった。
扱くのに合わせて、後ろが収縮する。ぎゅっと締め付けるたび、違う快感に悩まされた。
……ぁああ、すご……
身体の奧から……腰の中心から、背中にかけて、何かが這い上がっていく。
───ぅああ……
心臓がバクバクしてくる。上下する手は、どんどん早い。
「先生……先生………!」
……もう……イク……いっちゃう
「ぁあ、ダメ──先生……どうしよう……僕」
怖くなった。
ほんとに、このままじゃ、イっちゃう…… こんなトコで……
涙目で縋る僕に、楽しそうに眺めていた先生は、
「無理して、会社行かない?」
「………え?」
こんな時に、何を……
「……はぁ…」
僕は真意がわからないまま荒い息で、こくんと頷いた。
「それなら、いいよ」
バイブの端っこを摘んで、ゆるゆると抜き始めた。
………んんっ!
か……カリ高って…… このことか!
バイブのくびれが、体内を抉る。擦り上げる感じが、堪らない……
「………あぁ」
それでも、外してくれると思っていた。先生が笑った。
「アッ!?」
「静かに。イカせてあげるから」
抜かれると思ったバイブがまた入ってきた。
そして、先生の唇が僕の大きくなってるモノを咥えた。
「んぁっ……ぁあああぁ……!」
やっ! ……なにっ……なに………
咄嗟にタオルケットの端を口に押し当てて、目を瞑った。
────ぁああああぁぁ!!
生暖かいぬめったものが、僕の廻りを這い回る。
唇が吸い付いては、扱き上げて、内側のモノを吸飲する。
透明な液体が先生の口中に溢れて、淫猥な音を立て始めた。
…あっ、…あっ…あっ………!
バイブも激しく出入りされて、妖しげな疼きがどんどん高まる。
僕はすっかり脚を開いてしまい、それでも強すぎる刺激に腰を捩った。
───いく……イクッ!
「…ぁあぁ……せん……せ…」
ビクンッ! と、全身が痙攣した。
先生の顔に打ち付けるみたいに腰を仰け反らせて、すごい絶頂感。
「…ぁあぁ……はぁ………」
長いこと痙攣しっぱなしだった。
後ろを搾ってしまい、余計に刺激を受けてのたうった。
「……………」
やっと唇とバイブを外してくれた時は、僕はくたくたで、声も出なかった。
「気持ちよかった?」
濡れた頬を拭いてくれながら、先生は眼鏡の奧から微笑んだ。
「────っ!」
僕は唇を噛み締めて、その目を睨み付けた。
動けないのをいいことに、…何したんだ、この先生!
抗えなかった僕も僕だけど……今更ながら、悔しくなった。
「これで、よく眠れるよ。入院したくなかったら、当分絶対安静だからね」
「─────」
顔を真っ赤にしながら、睨み付けるしかなかった。
「君みたいな…可愛い顔してスーツ着た子が、頑張ってるのを見るとね……」
また前髪を梳いてくれる。もう、汗でべとべとだった。
「悪戯したくなる」
────!!! ………お……応援じゃ、ないの……?
愕然としてしまった。
ここに入院設備がなくてよかったと、つくづく思った。
あったらさっさと放り込まれて、何をされているかわからない。
身体を綺麗に拭いて、パンツとズボンを元通り穿かせると、先生は朗らかに微笑んだ。
「じゃ、後でね」
「─────」
部屋を出て行くのと入れ替えに、さっきのお姉さんが入ってきたようだ。
「あら、先生どちらにいらしてたんですか? 待ってますよ、患者さん!」
「ん、ごめんね。トイレ」
……………!!
呆れたところへ、カーテンを開けてお姉さんが入ってきた。
「やだ、まだ顔が真っ赤ね! 点滴終わる頃にはだいぶ楽になると思ったのに」
───ほんとなら、そうだと思うよ……僕も……
「あら、でも表情はさっきよりずっとスッキリしてるわね。薬、少しは効いたかな? よかったね」
「………………」
点滴を外しながら、にっこり微笑んでくれる。
「もうすぐ順番よ。先生、こっちに来て看てくださると思うから、寝ててね」
さらににっこり微笑んでエンジェルナースは出て行った。
………………。
これ以上、ナニを看るっていうんだ?
こんなタダレた病院、二度と来るかと、僕は誓った。
近づいてくる先生の足音に、ドキドキしてしまいながら……
-終-  
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