やった!
ぼくは先日の模試の結果を受け取って、喜んだ。
やっと、目指すランクに辿り着いていた。
 
「翔太、頑張ったな!」
「先生! ありがとうございます!」
ぼくは大学受験に失敗して、一浪していた。
来年もう一度受験し直すために、塾通いをしていて、もうすぐ半年になる。
「先生、ここ、もう一度教えて」
「ん?」
「思った通り、やっぱ間違えてた。質問の意味がわかんないんだ」
返ってきた答案用紙を握り締めて、先生ににじり寄ってしまった。
「なんだよ、随分張り切ってんな」
「……て、いうか。……もう、失敗したくない」
「…………?」
ぼくの様子が変なことに、先生が気が付いた。
 
 
「待たせたな、ごめん」
先生を待っている間、空いている個別指導の教室で自習をしていた。この部屋は、一人でも学習できるようにパソコンとプリンタも備えてある。入っているソフトで、ゲーム感覚に英単語とかを覚えられるんだ。
居残って教えて貰うときは、いつもこのセルフルームを使って待っていた。
「で、どうした?」
2つ横並びのデスクのイスの向きを変えると、向かい合って座った。
片肘をデスクに突いて、反対の手で苦しそうに首元のネクタイを緩めながら、優しく笑う。
この先生だけは、いつもスーツにネクタイをして、評判がいいんだ。
 
「親が…また、うるさくて」
ぼくの親は、浪人することをとても嫌がった。
来年も受かるかは、判らない。
1年棒に振るより、他で身のフリを考えた方が、良かったんじゃないかって。
「あの時…浪人決定ってなった時、凄い悩んだんだ。そんなこと」
「うん」
でも、どうしてもあの大学に行きたいから、すっごいお願いして、やっと許して貰ったんだ。
それなのに、思い出したように、時々ぶちぶち言う。
母さんは単純に、心配してるんだけど。
「今しか出来ないことっていうのがあって、ストレートで入った友達はそれを謳歌してるわけ。なのに、ボクは塾しかなくて、人生がかわいそうだって」
先生は、困ったように笑った。
お兄さんみたいに優しい先生。ぼくは一人っ子だから、余計そう思ってしまう。
「言わなくたって、いいじゃん。そんなこと」
「うん……そうだな」
「ボク、自分に言い聞かせてんのに、他からそんなこと言われると、焦っちゃって」
 
そこまで言って、先生を見つめた。
さっぱりとした短い髪がよく似合ってる。そして引き込まれる眼差し。
授業の時も、色々相談するときも、真っ直ぐぼくをみて、じっと聞いてくれるんだ。
「そこに受かった友達がいてさ、早く来いよって、言ってくれるんだけど」
「うん?」
「来年受かっても、ソイツはもう、一学年上にいるわけ。……ボクが塾しか行ってない間に、あいつはもう大学一年生を、終えてるんだ」
「………」
「そう思うとさ、これでいいのかなって、つい考えちゃって」
「……どうしたい?」
「え?」
先生が聞いてきた。
「翔太がもし、浪人してなかったら、なにしてた?」
ぼくはいきなりの質問に、困った。
大学生になってたら……。
進みたい専攻があって、そのためにその大学を選んでる。
でも、その他はあまり考えたことがなかった。
「……わかんないけど……楽しそう。サークルとか」
「サークル?」
ふっと、先生が笑った。
「うん、ソイツが…受かったヤツが、よく自慢してる」
「……何してるって? …そいつ」
先生の目が、一瞬暗く光った気がした。
「さあ…具体的に言わないけど、友達たくさん出来て、いろんなコト知れるようになったって」
言ってて、気が滅入ってきた。
どんどん差を付けられてる気がする。
いつまで経っても、高校生ちょい、大学生未満の自分は、一歩も先へ進めない。
「………」
黙り込んで、視線を落とした。腰の横にぶら下げているサスペンダーを弄くる。
「翔太、スネ坊になってるぞ」
頭をコツンとやられて、顔を上げた。
「下唇が出てる」
微笑む先生の目とぶつかった。
ぼくは、ひがんだり拗ねたりすると、下唇を突き出すクセがある。そしてつまんで引っ張り出す。
「指をかじる程、落ち込むなよ」
最後はそこまでいく。よく親に怒られたモンだけど。
……よく見てるなあ、先生。
「……うん」
赤くなって、また下を向いた。
「だってさ……アイツがやることは全部実績になってくのに……出席日数とか、単位とかさ。でも自分は、どんなに頑張ったって、出来て当然。もっと頑張れ……しかないじゃん」
ぼくは下唇を引っ張った。
「よくやったも、おめでとうも、来年受かるまでお預け……」
なんか、成果が出れば出るほど、嬉しいのと反比例して空しくなるんだ。
 
「……先生だけだよ。ちゃんと褒めてくれるの」
他の先生は、言葉だけ。その裏には”さっさと次を目指せ”が含まれてる。
「成果はきちんと、認めてやらないとなぁ」
先生は笑って、くしゃくしゃっと頭を撫でてきた。
「センセ……」
子供扱いはいやだ。その手を払った。
また下唇を引っ張る。
「――なんだ? まだ、なんかあるのか?」
先生はぼくのそういうとこに、すぐ気が付く。
「……彼女も、出来たんだってさ」
「……そいつ?」
「うん。先輩も。大学入って、すぐ教えてくれた」
「……………」
「なんかさ、みんなさっさと大人になってく気がして」
「……くだらねえな」
「……え?」
先生の声がいつもより低く聞こえた。
顔を上げると、怖いくらい真剣な先生の目。
「翔太、そんなことが羨ましいのか?」
「そんなことって……」
ぼくは、なんかムッとした。先生には他人事かもしれないけど。
「モテそうな先生には、わかんないよ。……こんな焦り」
ぷいと横を向いて、呟いた。
「塾通いしてて、彼女が作れないのが悲しいのか?」
「別に、……それだけじゃないけど」
親が言う、今しかできないことって、なんだ? って考えると……なんか、胸が苦しくなる。
 
「恋でもしたいのか?」
「え!」
 
その言葉に反応してしまった。恥ずかしい一文字。今時そんな事、言わないでしょ…。
真っ赤になったぼくを覗き込んだ先生が、囓ろうとしていたぼくの握り拳を掴んだ。
「俺が教えてやる」
「………は?」
「大学だの、サークルだのって、くだらねえ!」
先生の目が、いつもと違う。こんな言葉使いも、聞いたことなかった。
「先輩もソイツも、クズだな。そんなの俺が教えてやるよ」
「……なに……」
掴んだ手を引き寄せられた。ぼくの両手首を、片手で束ねて掴み直す。
「セックスがしたいんだろ?」
目の前に迫った先生の顔が、笑った。
―――え……
「……んっ!」
いきなり唇を押し付けられた。
「や……せん……」
ぼくは驚いて、顔を捩って逃げようとした。
「――――んん……!」
首の後ろから頭を固定されて、動けない。もう一度押し付けられた唇から、先生の舌が入ってきた。
!! ………やっ! ――なに!?
覚悟も何もない。いきなりそんなコトされて、心臓が飛び上がった。生温かい物体が口の中を這い回る。
「んーっ!」
先生の片手に拘束されたぼくの両手は、解けなかった。
……あ………あっ………
先生の舌先が、くすぐったくなってくる。ぼくの舌と絡め合わせては、あちこち突かれた。
「ん……ん………」
長い長いディープキス。
ぼくの力が抜けるまで、先生はやめてくれなかった。
「………はぁ……」
やっと解放された時は、すっかり息が上がってしまった。
「……………」
手を離して欲しい。潤んでしまった目で、先生を見上げた。
「もっと、気持ちいいこと、教えてやる」
………え?
先生はネクタイを解くと、ぼくの手首に巻き付けた。
「せ……先生!?」
「静かにしろ、ご褒美だよ」
……ご……ご褒美!?
驚愕のぼくの顔に、また先生は笑った。
いつもの優しい笑顔じゃない。
さっきの凶暴そうな笑い。
「今回、ランクアップしたろ? そのご褒美」
「……ご褒美って……」
まだよく、わからない。手首を縛られて、ただ怖かった。
「ヤルだけなら、大学行かなくたってできる。そんなことが羨ましいなら、俺が教えてやる!」
手首を縛ったネクタイの余りを、デスクに据え付けられているプリンタを載せる台の柱に結びつけた。
「やっ……先生、なに!?」
「静かにしろって」
デスクの台に胸をくっつけて、腰を突き出す格好になってしまったぼく。
その腰に先生が横から腕を回した。
バギーパンツの前を開けると、下着の中に手を突っ込んできた。
「あっ!」
「こんなダボッとしたの穿いてると、せっかくのスタイルがわかんないな」
「先生……やめて」
ぼくが言い終わらないうちに、バギーはズルリと、足元に落ちた。
「細いね。見せパンなんか穿いて…カッコだけは色気付いてんな」
ぼくはまた、真っ赤になった。
「ふ……普通だよ! それより、先生……」
トランクスの中で、先生の手が動く。
「あ……」
それも脱がされてしまった。
すとんと、バギーの上に落ちる。
…………うわ……
むちゃくちゃ恥ずかしい格好で、ぼくの腰は丸出しになってしまった。
デスクの上に腹這い、素っ裸のお尻を90度の角度で突き出している。
 
「先生! やめてください!!」
大声を出したぼくの口に、何か突っ込まれた。ハンカチ……?
「………んんっ!」
「それ以上、声出すな」
顔を寄せて囁くと、先生は握っていたぼくの前を扱きだした。
………あっ!!
先生の大きな掌。ぼくの手とは違って、一回の上下で、根本から先端までくまなく擦り上げる。
………うあ……うあ………
腰が、ビクンビクンと跳ねてしまった。
楽しそうな笑い声が、後ろを覗き込んだ。
「綺麗な尻してるなあ」
言いながら、突き出してしまっている双丘をなで回した。揉んだり撫でたり、左右をまんべんなく愛撫してくる。
「んん~っ」
……恥ずかしい。時々、キスもしてくる。その度、腰がまた跳ねる。
やめてほしくて、ぼくは腰を捩って逃げた。
でも巻き付けた腕が、逃がしてくれない。腰を振って、先生に見せつけているみたいになってしまった。
「……エロい」
先生は、一言そう呟くと、撫でていた手を、後ろの中心に這わせた。
「んんっ!!」
その感触が異様で、また腰を振った。
「翔太…こっち、すごい熱いぞ……」
先生の前を扱く手が早まる。ぼくはすっかり反応して、そこを大きくしてしまっていた。
「ん~っ!」
……当たり前だよ……こんな扱かれちゃ……
興奮状態で、呻くばかりだった。
掌で包んで上下しながらも、親指の腹で、先端をずっとさすり続ける。
それが、腰の内側にゾクゾクと快感を呼び起こす。
「翔太…大学なんか行かなくても、女なんか作らなくても」
………ぅあ!
「楽しいことなんか、たくさん教えてやる」
「…んっ! ……んんーっ!!」
ぼくは首を振って、嫌がった。
先生の後ろにあてがった指が、少しずつ押して入ってくる。
突き出している分、無防備に解放されていて、拒否出来ない。
………や……嫌だ……そんなトコ……!
「塾生だって、楽しむ権利はあるぞ」
――そんな………だからって、こんな……
………あぁ……ぅああぁぁ!
どんどん押し込まれる、先生の指。
強引な圧迫感と異物感に、嫌悪して。ゾッとするような寒気が背筋を伝った。
同時に下っ腹に、異様な感覚が湧き起こる。
………嫌だ……こんなの……!
ぼくは変な悲鳴を上げそうになって、首をねじ曲げ、自分の肩に唇を押し付けた。
「んぁ……ぁああ……」
前を扱きながら、激しく後ろの指を出し入れされる。
背中を反らせてしまい、余計腰が突き出た。
…あぁ……なん………なに……
「ぁあ……ぁああ………」
ハンカチの隙間から、声が漏れる。
膝がガクガクして、身体を支えるのがしんどい。
――――あ――やば……うそ……
もっと首を曲げて、後ろの先生を必死に見た。
ぼくを抱え込む背中と腰しか見えない。
「んっ、…んっ」
 
……イク――いく! …………せんせいっ!!
 
「……んぁあぁ!」
止まらない扱きに我慢できるはずもなく、先生の手の中に勢いよく出してしまった。
………ぁああぁ……
荒い息で、高ぶりを追い払った。
いきなりの展開に、頭がまだついていかない。
朝からぶちぶち言われて、落ち込んでたのに。
自分一人取り残されていく気がして、ただ焦ってたのに。
それなのに……
「翔太……」
先生に身体を触られて、ぼくは信じられない初体験をしていた。
手首縛られて、こんな強引にだけど……
 
「翔太……気持ちいい?」
まだ余韻が残ってる。
それは、今もなお、後ろを出入りする指のせいかもしれない。
前を扱くのもやめてくれない。
「…………ん…」
ぼくは、霞む頭で頷いた。
先生がまた笑った。
「もっと気持ちいいこと教えてやる。たぶん、先輩だって知らないぞ」
「…………?」
先生は両手をぼくから離すと、背後に身体を移動させた。
カチャカチャとベルトを外す音がする。
「今みたいに、声、抑えろよ」
背中から抱きついてきて耳元にそう囁かれた。さっきまで指が入っていた所に何か熱い塊が押し付けられた。
…………あぁッ!
ムリヤリ中に、入ってくる。
「んっ! ……んんーっ!!」
ぼくはその強引さと、強烈な熱い異物の侵入で、どうにかなりそうだった。
「……翔太……しょうた……深呼吸……」
先生がよく言う台詞。
ぼくがテンパったとき、必ずすぐに気が付いて、落ち着かせてくれた。
………そんなこと、言ったって!
入り込んでくる、先生の熱いモノ。
擦られる感覚が……。
揺り動かされて、腰に変な疼きが湧き上がる。
……やだ………いやだ……!!
目を瞑って、必死に首を振った。
「……んん…」
急に動きが止まった。
全部入りきって、動かない先生。
押し付けてくる腰と、抱きついている背中が、もの凄い熱い。
…………はぁ………
……痛い…
ムリヤリこじ開けて、ねじ込まれた。
……熱い…
僕の中で、熱く脈打っている先生が判る。
だんだん違和感が無くなっていく気がして、やっぱり怖い。
………どうなっちゃうんだろう………ボク……?
 
「翔太……気持ちいい……」
耳元で囁かれて、ぼくは後ろを搾ってしまった。
「ん……キツ……」
呻いた先生の手が、ぼくのパーカーとTシャツの下にすべり込んできた。
「ぅ……ぁあああ!」
慌ててまた、首を捩って肩に口を押し付けた。
先生の両手が、胸をまさぐる。突起を見つけ出して弄くり回した。
………うあ! ……ぁああっ……
伸ばしきっている腕に、ビリビリと電流のように快感が走る。
「翔太……動くよ」
………あぁ、待っ……先生……
「ぁ………んんっ……!」
背中を、痺れが突き抜けていく。
打ち付ける衝撃が、前にも快感を送る。
それをまた、ぎゅっと握られた。
「!! ………ぁあああ!」
「翔太……静かに……」
はぁはぁと、息を荒げながら、耳元で囁く声。パンパンと肉音が響く。
――――せんせい……
「ぁあッ………んぁあぁ……」
ムリ……むりだよ…………そんなにして……
胸と前と後ろ…それぞれを弄られて、扱かれて、突かれて。もう身体は勝手に快感を追い出していた。
隣は……プレイルームだ。日本語禁止。英会話だけでゲームをする部屋。
今、使っているのかな……聞こえちゃうかな……。
そんな、スリルが、ますますぼくを興奮させた。
「…ぁっ、……ぁあっ、…………」
どんなに声を殺しても、漏れてしまう。貫かれる衝撃が、身体中を痺れさせる。
声だけじゃない、パンパンと打ち付ける肉音、ぐちゅぐちゅとなんか怪しげな水音、すっごいヤラシイ。
「はぁッ…、はぁッ…」
「翔太……翔太………」
繰り返す声に、煽られる。
………せんせい……せんせい……
ぼくも、頭の中で、繰り返した。
「……気持ちいい…?」
耳の後ろで熱く囁く声に、ぼくはこくこくと頷いた。
目はぎゅっと瞑ったまま、衝撃と快感に耐えて。
………あぁっ………また……!
「んっ……んっ……!」
二度目の、イキそうな予感。
ぼくは困って、必死に首を振った。……こんなふうにイカされるのが怖くて…。
「翔太……我慢するな」
……せんせい……
 
「ぁあ、……ぁあああ!」
前をいっそう扱かれて、追い上げられた。
あまりに快感が激しくて、身体が支えられない。膝がおちそうになるのを、必死で踏ん張った。
先生の腰も激しく動く。
「翔太……イクぞ……」
ぼくはまた、こくこくと頷きながら、懸命に声を殺した。
…あっ……あっ……あぁ……
「翔太…翔太……翔太!」
「んぁ……んんーっ!!」
  
――――ぁあああっ!!
 
ドクンッ 
 
眩暈のような衝撃の中、腰が一段と震えた。
激しい鼓動と共に、また先生の掌に吐精してしまった。
 
――――熱い……
体内に、先生が放出した体温を感じる。 
 
「……………」
ゆっくりと、動きを休めていく先生の腰。
最後まで搾り出すように、前も扱かれ続けた。
……もういい
ぼくは、首を振って、先生をイヤがった。
それ以上は、もう……
胸を弄っていた先生の手が、ぼくの口からハンカチを取り出してくれた。
唾液もみんな吸い取られて、口の中はカラカラだった。
「……センセ……もう……やめて」
掠れた声で、それだけ言った。
動きは止まったけど、抜いてくれない。
首を捩って、涙目で、後ろの先生を見上げた。
すぐ近くに、先生の顔……じっと無言でぼくをみていた。
―――せんせい……
思わず、ドキッとした。
「翔太……気持ちよかった?」
そっと聞いてくる先生の声に、ドキドキしながら、ぼくは小さく頷いた。
なんか、凄く恥ずかしい。
「俺も……気持ちよかった」
―――先生……
「……酷いよ……ボク…先生のこと、お兄さんみたいに思ってたのに……」
縛られている手と、まだ終わっていないこの状況に、情けなさを感じてきて。
呟きながら、最後は横目で睨んでしまった。
ふっと、肩口で笑われた。暖かい息がくすぐったい。
「下唇、出てるぞ。……俺は…翔太は、生徒の方がいい」
細まった先生の目を見て、ぼくは泣きそうになった。その頬にキスをくれた。
「…………」
「スゴイ体験ができたな。塾生も、悪くないだろ?」
そんなことを、囁く。
「……うん……でも……」
まだ抜いてくれない……後ろが辛い。無意識に搾ってしまうのが、イヤなのに。
――全部先生に、伝わってるよね……?
「翔太……かわいい」
「あ……」
そのまま抱きしめられた。
「このまま、もう一回……」
―――えっ!?
「やっ! ……もうムリ……」
ぼくが抗うと、先生が変な声で笑った。
「翔太……俺さ、家庭教師もやってんだ。ここには内緒でな」
「………?」
「こんな外面いいから、親に受けが良くてね」
………うん。ウチも先生見て、この塾が良いって決めたんだ。
………だから?……
ぼくは、先生の言葉を待ちながら……聞くのが怖かった。
「こんな塾やめて、先生を俺一人に搾らないか?」
「…………は?」
「そしたら、もっといろんなこと教えてやる」
……これ以上、なにを……
「センセ……離して……」
「うんと言うまで、このままだ。断るならもう一発ヤル」
――――えぇ!?
「………や……っ!」
叫び出しそうになった口を、大きな掌で押さえられた。
…………ぁああ!
また、ゆるゆると動き出す先生の腰。それは、もう芯を持ち始めていた。
「先輩なんか、もう、どうでもいいだろ? まだ羨ましいか?」
………確かに、こんなの、先輩もアイツも知らないかも……
そんなことが、ちらっと頭を過ぎったけど…… 
 
―――知らなくて、いいことなんじゃない? こんなの!
 
ぼくの”大事な時期”は、間違った方向に、走り出している気がした。
 
でも……
もう、イエスだろうが、ノーだろうが、先生の腰は止まらない。
熱い先生の息……背中……掌……そして―――
3度目の予感に、ぼくの身体も……勝手に熱くなっていく。 
「………ん……ぁあ…」 
 
 
「ご褒美、いっぱい、くれてやるぞ」
 
 
 
―――――!!!
………いや、だから、そういう問題じゃ……
………うう、どうしよう
 
 
―――あッ――また………胸を……ぁあ… 
「ぁあ……ヤ……センセ……」 
 
 
身体は真っ正直だった。
「翔太………」
耳元で先生の声。ぞくりと背中が震えた。
 
 
―――家庭教師?
自室のベッドが頭を過ぎった。
……………。
 
 
 
――ぼくの身体は、熱くなるばかり…
 
 
センセイ――― 
とにかく今は…喘ぎ声しか…でません。  
 
 
 
 
-終-
 
                            
 
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