カバン返して。
 
11.
 
「あっ、徹平さん、……電気消しましょう!」
 
 
「だめだ」
 
「布団、敷きましょう!」
  
「あとでな!」
 
 
 この期に及んで、照れて暴れる千尋を押さえつけた。
 もう一度耳と首筋にキスをして、胸の表面に舌先を滑らせていった。
「っあぁ……、あ…、あっ…」
 感度のいい千尋の体は、すぐに熱くなった。
 白い肌が、ほんのりピンクになり、触れたところは、濃い桜色になる。
 ピクピクと跳ねる身体や裏返る声に、それだけで煽られた。
 胸の突起に辿り着くと、俺の腕を掴んで、もの凄い震えた。
「ぁああっ、徹平さん、……そこッ…」
 舌先で押し潰すように、嬲ってやった。
「んぁああ! いいっ……、んんっ」
 声だけで、俺もイキそうだった。
「……はぁ…」
 考えてみりゃ、俺は何度かしゃぶられてるが、コイツの乱れた姿は初めてだ。
(夢ん中じゃ、自分が千尋だからなぁ)
 客観的に見たことがなかった。
 
「…………」
 
 ……ん?
 愛撫を急にやめた俺を、潤んだ目が心配そうに見上げてくる。
 髪が畳に広がり、前髪も横に落ちて、かなり顔が見えていた。
 頬も目も真っ赤で、八の字に眉を寄せて。
 子供なのか大人なのか、判らないような表情。
 そっと手を伸ばすと、まだ顔を半分隠している眼鏡を外した。
「あ…」
「……千尋、可愛い」
 その顔に、キスをしていく。額、鼻の頭、両頬、唇……。
「ん……」
 仰け反った顎先、首筋。
 そうしながら、首の所で絡んでいた邪魔なシャツを脱がせた。
 上半身が裸になる。
 
(お……)
 首に吊していた、メタリックグリーンの鍵が残った。
 シルバーのチェーンが素肌に光って、妙にヤラシイ。
「ちゃんと、下げてんだな」
「はい! ……大事な宝物です」
 それを外してやると、愛撫を開始した。
 鎖骨、肩、胸…と、唇でゆっくり啄みながら、手をもっと下へ滑らせた。
 千尋のそこは完全にテントを張っていて、ジャージが持ち上がっていた。
 それを上から撫でる。
「んっ…」
 腰をぴくんと震わせて、膝が擦り合わされるように動いた。
「脚…伸ばしてろ」
 ジャージの両脇を引っ張って、下着ごとそっと脱がせた。
 
「……ひゃぁぁ!」
 ピンクのペニスが、ぷるんと飛び出てきた。
 先端から、尻の方までびっしょりになっている。
「すごいな…」
「み…見ないで」
 顔を両手で覆って、全裸を晒している。
 興奮も絶頂の俺は、きつくなったデニムの前を開けて、ボクサーも全部ぬいだ。
 上も勢いよく脱ぎ捨てる。
「……徹平さん、カッコイイ」
 細い手が伸びてきて、俺の胸筋を撫でた。
 指先が触れただけで、ゾクリとし、下がますます勃起した。
「……」
 俺のそれを凝視して、千尋が冷や汗を掻きだした。
「……おっきい」
「そうか?」
 他人と比べたことなんかないから、知らん。
 それより、俺は千尋の方が気になった。それこそ、生の他人の勃起なんて初めて見る……。
 白い両脚を持ち上げて開かせた。
「……ひぁあ」
 先端がピンクに染まっている、綺麗な屹立。
 溢れた先走りが、背中の方まで伝って、有り得ないくらいエロイ。
 俺はそこに舌を這わした。
 背中の方から、尻に伝っている透明な液体を、舐め取っていく。
 どんどん這い上がり、核心に舌を近づけていった。
「んんっ……、はぁ……」
 焦らされた千尋の身体は、震えて新たな透明な液体を流している。
 脚の付け根を舐めながら、俺は先端の鈴口で盛り上がっている液体に親指を添えた。
「んんァッ!」
 ぴくんとそれを揺らして、悲鳴があがる。
「お前みたいに、上手くできないけど……」
 亀頭をゆるゆると擦りながら、裏スジを反対の手で撫でた。
「俺流で、やるぜ」
 要するに、俺のオナ方式だ。千尋の感じるところを探しながら、ソレを全部口に含んでいった。
「ぁああっ! 熱い…てっぺーサン……」
 腰をビクンビクンと跳ねさせ、脚を自ら開いていく。
 後ろの窄まりが、俺を誘う。
 ピンクの中心に指を当ててみた。
「ひゃっ……ぁああ…!」
 色っぽい声が一段と跳ねて、口の中のモノが硬くなった。
 垂れているぬめりで、蕾の表面を擦っていると、ピクピク収縮しだした。
 
 ──やべ……エロすぎだろ……
 女じゃないのに……
 男臭くもない千尋の肢体に、女に感じるような欲情が湧き上がる。
(いや、……興奮はそれ以上だな)
 心の中で苦笑した。
 
 俺の愛撫に、確実に反応する千尋。
 身体で、喘ぎで応えるそれは、俺を興奮させ続けた。
「ゆ……指、入れて」
 耐えかねたように、千尋が甘い声でねだりだした。
「────ッ!」
 俺の股間もすごいことになった。
 今の声で、ギンギンに勃起してしまい、スゲー痛ぇ。
「────」
 屹立をしゃぶりながら、後ろを弄っていた人差し指を、ピンクの中心にそっと押し込んでみた。
「ん…んぁっ!」
(おっ……)
 リキんだみたいで、反発をくらった。
 それでも蕾を掻き分けて、第一関節まで侵入させてみた。
「あっ……、いい……」
 また、甘いよがり声だ。
「ぁあ、…てっぺーさん、そのまま、もっと奧……」
 腰を回すように振ってくる。
 はぁはぁと乱れる息も、顔が見えない分、余計に煽情的だった。
 ぬめりに助けられながら、俺は人差し指を千尋の中に埋めていった。
「ぁん…、ぁあ…!」
(うわ……熱っ……)
 中は思ったより柔らかかった。何かが蠢くように指を締め付けてくる。
(クッ……)
 また俺の股間に、ダイレクトに来た。ここに挿れるのかと思うと……
 蠢きに導かれるように、中で指を動かした。
「あッ…いいッ…そこ……」
 激しく喘ぐのと同時に、咥えている屹立が大きくなった。
(……ここか?)
 指の先に当たるような気がする何かを、俺は執拗に触った。
「あああ! ……いいっ! ……徹平さん…いいッ……」
 頭に手を乗せられて、また腰がゾクリとした。
 髪を掴んだり押したりと、俺の扱きに合わせて、身体をしならせる。
 
「あぁ! いッ…イキます……イッていいですか……!?」
 
(……えっ!)
 俺は焦った。
(き、聞くなよ、そんなこと! ……そんな声で!)
 咥えてて喋れない俺は、代わりに動きを速めた。
 挿れていた指を抜き差しして、中も外も刺激する。
 唇の扱きも、激しく上下させた。
 
 
「んんぁああっ!」
 
 激しい締め付け。
 声も一段と高い。
 
「……てっぺいさん……てっぺいさん! ぁ……いくぅ!」
 
 
 腰を震わせたかと思うと、俺の口の中に、飛沫を飛び散らせた。
(……んっ!)
 
 ビクンビクンと、舌の上で跳ね続ける。
「ぁあ……、はぁあッ……はぁッ……」
 激しく乱れた呼吸と胸の隆起に合わせて、放出し終えたそれは、硬度を失っていった。
 俺は最後まで吸い出してやって、口の中に溜まったモノを一気に飲み込んだ。
「……え……ぁああ!! だめですよぉ!」
 千尋が気が付いて、起きあがれないまま叫んだ。
「そんなの、飲んじゃ駄目です!」
「……千尋」
 俺は這い上がって、横に並んだ。
 上気した頬と潤んだ目が、イッた後を思わせて、これまた興奮材料になった。
「……てっぺーさん…」
 困った顔の唇に軽くキスをして、笑ってやった。
「お前も、飲んだろ?」
「ボ…ホクは、いんですよぅ!」
 目を白黒させている。
「お前が飲むたび、俺はゲッて思ってたけど」
 頬に手を伸ばして、張り付いた髪の毛を払ってやった。
「お前から出たモンで、お前の体温で……ちっともヤなモンじゃねぇな」
 ……美味いモンでもないが。喉の奥に張り付いてる感じは、ちょっと参る。
 でも俺の手の中で悶える、千尋の総てが愛しくて……吐き出すなんて出来なかった。
 
 眼鏡ナシの目で見上げてくる。
 澄んだ瞳が本当に綺麗だと思った。
 前髪も畳に流れて、露わになってる顔は、妙に幼げで可愛いい。
 この顔が、俺を受け入れたら……
(ックゥ……痛ぇーっ!)
 すぐ、そんなことを考えてしまう。俺の勃起は、腹に着くほど反り返っていた。
「千尋……イッたばっかで、スマン。今度、俺いいか?」
「はいっ! ボク、すぐまた……いけます」
 最後は恥ずかしそうに、小さく言った。
「千尋……」
 その顔を胸に抱え込むと、肩も背中も全部抱き寄せて、脚を絡めた。
 腰骨の辺りに、勃起を擦りつけて、暫く腰を振ってしまった。
(気持ちいい……止まんねぇ)
 興奮が、何をしても俺を煽る。触れてるだけで、何度でもイケる気がした。
 千尋の手が、俺の腰にそっと触れた。
「…………」
 自ら脚を開いて、その中心に俺を誘導した。
 指の何倍もあるコレが、本当に入るのか?
 あてがった時そんな不安が過ぎったが、先端を押し込むと、柔らかく俺を向かい入れた。
 抵抗は最初だけだった。
「んぁ…」
 千尋がすぐに反応し出す。
「今…あたま、入ったぞ」
「……はい、…はぁ……やっぱ、大きいですぅ…」
「く……」
 締め付けられると、かなりヤバイ。
 ゆっくりとその先を押し込んでいった。
 俺の先走りでぐちょぐちょになってるそれは、引っ掛かりながらも少しずつ千尋に埋め込まれていく。
「あっ……ああっ、……すご…すごい……」
 体中を震わせて、身悶えている。
 少し引いて挿れ直す時は、顎を反らせて喘いだ。
「んっ…、んぁあっ!」
 耳元で上がる嬌声に、俺は理性が抑えられなくなっていった。
 必死に脚を開いて、俺を受け入れているのも、愛しい。
「千尋…スマン」
「あっ! ……ぁあああッ! うぁ……て…てっぺーさん」
 最後は強引に突っ込んでしまった。挿れきってから、2.3回突きあげた。
「んはあぁ!」
 全部を咥え込んだ千尋は、中で俺を締め付けた。
「あぁ……、熱い…徹平さんの……熱い」
「俺も……、お前んなか、熱い…」
 はぁはぁと、お互いに息を吐きながら微笑んだ。
 入り口は搾って、奧は奧で締め付けてくる。
 熱く蠢く体内は、想像以上に気持ちが良かった。
「てっぺーさんと、今…繋がってる……」
 火照った顔が、虚ろな目で微笑んだ。
「千尋……」
 その笑顔で、俺の怒張が中で増したのがわかった。
「……んっ」
「動くぞ」
「……はい」
 ずるっと引き出して、再び奧まで突き挿れた。
「んぁっ……、ぁあぁっ!」
 突くたび、細い腰を上に揺さぶる。
「ぁあ! ……ぁああっ! ……いいッ……いいよおぉ…!」
 爪を立てて、俺の腕を掴んできた。
「千尋……千尋ッ…」
 抽挿を繰り返しながら、仰け反った白い喉に、晒けた胸に、俺もむしゃぶりついた。
 口を開けたまま乱れる表情に、俺の理性は完全にぶっ飛んでしまった。
 腹の間で勃ちなおしている、ピンクのも扱いてやる。
「ぅぁあッ……ぁんんっ……、すご……すごい……、ぁぁあ!」
 体内と出入り口の2カ所で締められて、俺はすぐ限界を迎えた。
「千尋…ちひろ……、イクッ」
「うん、ボクも……そのまま……そのまま、中に出して……」
 
 
「……クッ!」
「あぁ…、徹平さん……!!」
 
 
 きつく締められて、俺は千尋の中で達した。
 熱い滾りを、注ぎ込む。
 千尋も俺の手で、2回目を放っていた。
 
 
「んはぁ……熱い…」
 嬉しそうに、上気した顔が笑う。
「ボクの中……徹平さんで…熱い」
 
「……ああ」
 俺も熱くて。このままコイツの熱を感じていたくて、暫く抜けなかった。
 


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