chapter12. for a time- 幸せ空間 -
 
 
  メグ、愛してる───
 
 克にぃは、何度も何度も言ってくれた。
 僕を抱きしめて、頭を撫でて、大人のキスをして。
 
 僕は嬉しかった。
 克にぃに愛されてる、克にぃに近づけた。
 僕を一人前として、扱ってくれたんだ。オトナのナイショゴトをした僕は、ますます大人になっていく。
 
 あの部屋で、泣きそうだった克にぃの顔。それでも青い光の中の克にぃは、すっごい綺麗だった。カッコ良かった。
 手首の怪我のことは、詳しくは教えて貰わなかったけど。あれ以来、暗い顔をして考え込まなくなった。前みたいに、明るい声と優しい顔で、僕に微笑んでくれる。
 僕はヤクに立てたのかな。もう、置いてかないよね。僕も一緒に行く。
 
 旅行から帰ると、克にぃはとうさんに酷く怒られた。僕は絶対口を開いたらいけないと、克にぃに言われていたから、ずっと我慢していた。
 でも、あんまりとうさんが怒っているから、僕は悲しくなってしまった。
「僕がお願いしたんだもん、僕が旅行に、行きたがったの! 克にぃばっかり怒んないでよお!」
 泣き出してしまった僕に、克にぃととうさんが慌てて、やっと許されたみたいだった。
「ありがとな、メグ」
 後で克にぃがお礼を言ってくれた。僕は変わりにキスをねだった。克にぃの温かい舌が入ってくると、僕も舌をからみつける。柔らかくて、気持ちいい。
 一番初めはちょっとビックリした、噛み付かれる気がして怖かった。
 でも、克にぃが言ってたみたいに、“慣れ”っていうのはすごい。次の時は気持ちよかった。体中が熱くなる、頭がぽわんとして、何も考えられなくなる。
 僕の全部が克にぃに吸われちゃう感じが、堪らなく好き。
 
 じつは、帰ったその日の夜も、僕たちはえっちをした。
「メグ、大丈夫なのか?」
 克にぃが心配してくれた。ホテルで次の日の朝、起きたときお尻がかなり痛かった。車もちゃんと座れなくて、帰る間中シートを倒して横になってたんだ。
 でも、その日に帰ってきて夜ベッドでキスをしてたら、克にぃのあそこが大きくなってた。
 それを見たら、僕も変な気分になっちゃった。全身が熱くなって、キスをいっぱいおねだりしてしまった。
「克にぃ、僕、カラダが変だよ。熱いの」
 そう訴えたら、克にぃが優しく胸やお尻を触ってきた。
「変じゃないよ。それでいいの、兄ちゃん嬉しい」
 克にぃの指が、お尻の穴に入ってくる。
「あっ…んっ」
 逃げても離してくれない。前の方も触ってきた。
「克にぃ…」
 堪らなくて、思わず呼んだ。
「気持ちよくしてあげる。メグ、俺を感じて」
「……うん」
 克にぃは気持ちいいキスを、繰り返しくれた。
「ん……はぁ」
 僕は、息が声混じりになるのを押さえられなかった。僕の硬くなってるのを、手のひらで持って上下してくれる。すごい気持ちいい。何かそこから、沸き上がってくるみたい。
 それからまた、お尻に指を入れてくる。これは、お腹に変な感じがあって、ちょっと苦しい。
 僕は勝手にびくんて、跳ねてしまうんだ。そうすると、前がもっと気持ちよくなる。
「あっ、あぁっ、かつにぃ……」
 声が止まんなくなっちゃう。困って克にぃを呼んでしまう。
「ん……」
 また気持ちいいキスをくれる。これをしてると僕はどんどん興奮してくる。全身が熱くて、気持ちいいのが集まって、腰がもじもじ動き出す。
 克にぃの手が早く動いて、僕を興奮の頂点まで持って行ってくれる。
「あっ、あっ、…かつにぃ、出ちゃうよ…」
「イって、メグ、大丈夫だから」
「んっ、んんっ、……はぁ!」
 僕はもっと体を跳ねかせて、気持ちいい頂点を体中で感じた。頭の中で、光が弾けるみたいに、全身が痺れる。
 
 でも、お尻から指を抜いてくれた克にぃのが、まだおっきいままなのに気が付いた。
 そう言えば、僕ばっかりしてもらってる。克にぃはおっきいままだったんだ、いつも。
「克にぃ、昨日の、……して」
 恥ずかしかったけど、おねだりした。克にぃも一緒の方が気持ちいいもん。
「まだ無理だよ、痛いだろ?」
 心配そうに言ってくれる。僕は克にぃの胸にしがみついた。
「平気、お願い……」
「メグ……」
 甘いキスをくれた。
 
 
「んっ」
 克にぃの舌が、僕の中に入ってくる。温かくてぬめっとしたした生き物。
「あぁ…、ぅん……」
 僕の奥深くまで入ってこようと、うねうね動く。
「ふぅ……ん」
「…気持ちいい?」
 舌を抜いて、指を入れてきた。
「あっ…、うん……気持ちいい」
 指がもっと奧まで入ってくる。僕の中をかき回す。
「あぁ、かつにぃ……!」
 舌がもつれる。呼吸が荒くなって、顔まで熱い。
 気持ちいい。これ、気持ちいいんだ。僕はじれったい感じを受け入れて、背中を反らせた。
「ああ、克にぃ! 僕、すごい…あぁ、気持ち…いい」
 身体を捩りながら、伝えた。動いてないと、どうにかなりそうで。
「メグ…かわいい……」
 背中にキス。肩、脇腹、お尻、太股、克にぃの唇が触れるたび、僕のお尻は気持ちよさを増す。そして、指を締め付けてしまうのがわかる。
「んっ……」
 僕は、またどんどん熱くなっていった。
「メグ、…そろそろ、いい?」
「うん、……お願い」
 指を抜くと、克にぃが変わりに入ってくる。
 大きくて、熱い。ぐうって押される感じと、広げる痛さが同時に来た。
「ぅ、……んっ」
「メグ…」
 うめくような吐息が、僕の首にかかった。
 克にぃが熱い……こんなにくっついて、すごく熱い…。息も熱いけど、下の塊はもっと熱い。克にぃの体温、こんなトコから感じるなんて……僕はそれが嬉しかった。
「んっ、ぅんっ」
 少しずつ入ってくる。痛いけど、苦しいけど、別のなにかも、湧きあがってくる。
「あ…いぃ……気持ちいいよ、かつにぃ……」
「メグ、…メグ!」
「あ、あぁ」
 出し入れが激しくなった。僕には痛すぎた、でも同時に気持ちいい。叫び声が止まらない、枕で口をおさえて、叫んだ。
 克にぃの手がまた、僕の前を握った。
「や…克にぃ? や…もう、いい」
「メグ、…俺にまかせて」
 “俺”って言う克にぃに、胸がきゅんとした。
「ん……うん」
 僕はおとなしく、されるがままになった。後ろと前を一緒にこすられて、おかしくなりそうだった。
 克にぃの手、克にぃの塊、すごい…すごい…
「あぁ、かつにぃ、かつにぃ…!」
「メグ、…メグ、……俺、もう…」
「んっ…、うんっ…」
 克にぃが熱いものを僕の中に出した。僕も、克にぃの手にもう一回出した。
 
 
 
 
 
 
 そうやって克にぃと僕は、しょっちゅうエッチをするようになった。終業式が終わって、春休みが終わるまで。
 でも時々、“ゴムが無いから今日はダメー”と言って、お口で僕だけ気持ちよくしてくれた。僕は克にぃのも、してみたくなった。
「…克にぃ、そこに寝て」
 まねして言ってみる。
「?」
 横になった克にぃのズボンを、パンツごとひっぱって腰下まで下ろした。
「わっ、メグ……、なに?」
 慌てて克にぃが、ソシしてきた。
「動かないで、克にぃ!」
 僕は力がないから、押さえつけられない。だから、真剣に克にぃの目を見た。
「僕にも、させて」
 そう言って、熱くて大きくなってる克にぃのに、唇を当ててみた。いつも、やってもらってるように。
「んっ…」
 克にぃが呻いた。そしてまた、慌てる。
「メグ、やめっ…。俺はいいんだ、俺はっ……」
 顔を青くさせて、起き上がって止める。
「……僕、へた? 僕じゃ、だめ?」
 僕は悲しくなった。
 いつもしてもらってる、気持ちいいこと、克にぃにもしてあげたかった。
「いや…、ヘタとかじゃなくて…」
 顔を片手で拭って、深呼吸している。青かった顔は、真っ白だった。
「………克にぃ、僕、克にぃにも気持ちよくなってほしい」
「………」
「これがダメなら、他のこと教えて」
 涙が出そうになるのを堪えて、顔を覗き込んだ。
 克にぃは、じっと僕の目を見つめ返して、動かなかった。
「───他には、ない…」
 しばらくして、口を開いた。
「だから、……お口でして?」
 お願いするように、僕に微笑んでくれた。そっと優しく、僕の頭を撫でながら。
 胸が痛くなるほどドキドキ…真っ黒い目と眉が、かっこいくて。見とれた僕は嬉しすぎて、涙も吹き飛ばした。
「うん………うん! 僕、頑張る!」
「はは…、ヨロシクな」
 苦笑いをされた。
「うん、じゃ、寝て! もっかい、やり直し!」
 克にぃは、僕の言うことをすぐ聞いてくれた。ゆっくりベッドに身体を沈める。もう暴れないで、じっとしていてくれた。
 克にぃの熱かったものは、さっきまでとは違って、だいぶ小さくなっていた。
 僕は構わず唇をあちこちに当てた。舌でなめて、表面をたくさん濡らして、先っぽから根本まで、舌先をすべらした。
 大きいから、顔ごと動かした。舌先から、克にぃの熱が伝わってくる。僕も体を震わした。
「克にぃ…、ここ、大きい…」
「ん…メグ」
 克にぃの声に、僕も吐息が熱くなった。
 先っちょの割れ目にも舌を動かした。
「ん…、はぁ…」
 腰が動くのを両手で押さえて、先っちょを口の中に入れた。
「あ、つっ…、メグ、歯は立てないで」
「……うん」
 歯を当てないように、口の中に頬張った。舌で巻き付けるように、こすってみる。
「…メグ、うまいな」
 熱い息で克にぃが笑った。
「まねだもん。……いつもしてくれる」
 唇の端を舐めながら、僕も照れ笑いをした。
 僕の唇は克にぃの味がした。胸が熱くなる。どんどん熱くなって、またしゃぶり付いた。
 くびれや割れ目が気持ちいいみたいで、特に克にぃはそこを弄ると、ん…って息を吐いた。
 透明な液体も、一杯出てきた。気持ちいい証拠。僕は出来る限り、舐め回した。
「メグ、お口はもうオッケーだから……」
 顔を少し起こして、克にぃが言った。
「両手で持って、上下に動かして…」
 頬が今までにないくらい、赤い。目の端も、唇も赤い。克にぃの顔は、いつものかっこいいじゃなくて、とても綺麗だった。
「……うん」
 しばらく見惚れて、両手で包んでみた。
 ……熱い。
 とくん、とくんと、動きを感じる。大事に大事に上下した。下の方から、先っぽが手のひらに隠れるように上まで、大きく大きく、動かして。
「あ、……メグ!」
 克にぃが仰け反った。すごい震えてる…克にぃが僕の手で感じているんだ。
 堪らなくて、もっと動かしながら、先の割れ目に唇を当てた。上だけ舐め回す。
「んっ……」
 喘ぎ声が聞こえる。僕は興奮して、動かす手も早めた。
 克にぃ、克にぃ……! 心の中で、何度も呼ぶ。
「あぁ、メグ、メグ……」
 克にぃも、僕を何度も呼んだ。そして、大きく腰を震わして、勢いよく白いのを飛ばした。
「───!」
 僕の顔や胸に、いっぱい掛かった。
「………」
 シーツの上でぐったりした克にぃが、心配そうな目で僕を探した。薄目を開けて、やっと僕を捉える。
「…克にぃ……色っぽい、その顔」
 僕はその目線に突き動かされて、這ってあがると克にぃに顔を寄せて、キスをした。
 こんな風に自分からしたのは、初めてだった。
「ん、……」
 舌を絡めて、吸い付く。いつの間にか、克にぃが僕を抱えて僕を吸い取り、僕は必死にしがみついていた。
「ん、んっ」
 僕はまた、熱くなっていく。
「克にぃ、……したい」
 小さく言うと、克にぃは悲しそうに眉をよせて、
「ごめんな、うっかりしてて。生はダメなんだ」
「……なま?」
「うん、ゴム無し。それは絶対、ダメ」
「なんで?」
「こういうエッチ…セックスって言うんだけど、……それには守らなきゃいけないルールがあるんだ」
「…ルール」
「うん、兄ちゃんとメグがセックスするときは、特に絶対」
 “兄ちゃん”のとこを、強く言った気がした。
「……うん」
 僕は悲しいもやもやに突き上げられて、キスをねだった。
 こっちはいいよね? なんだかひどく克にぃの声が悲しくて、胸が痛かった。
「ん……んん」
 気持ちいい。舌を絡め、吸い上げられながら僕は時々めまいを覚える。
 
 克にぃ、大好き。
 


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