chapter10. time and time again 穿たれる楔-調 教-
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「克晴、よく聞いてよ」
唇を離すと、悪魔は俺の顔の前で囁き始めた。
「もう分かったと思うけど、挿れられる感覚は……受け容れるここでしか、解消できないんだ」
抑えている蕾を、ぐいっと押した。
「うぁっ……」
腰が跳ねる。勝手に後ろが引き搾られた。
「うん……て、ここが返事した」
口の端で嗤うと、また揉み上げてきた。
「この後ろの唇が、どこまで耐えられるんだろね。克晴の意地っ張りを、ここが全て背負うんだ」
「んんっ……」
俺の喘ぎを堪能すると、またガラステーブルから何かを引き寄せた。
「───!?」
悪魔の手に握られたモノ……それは……
「ピンクローター。克晴、知ってた?」
指先に摘んだそれを、俺の垂れ流している露で濡らした。10センチに満たない楕円の筒。そこからコードが一本繋がっている。
そんなの、俺が知るわけ無い。未知の物体を、見つめ続けた。
恐怖とか焦りとか、発露する感情なんか、もうなかった。嫌がったって、抗ったって……そんなもの、何一つ役にたたないことを、身体が分かってしまった。
目に映るモノを、ただ見つめ、与えられる快感を、享受する。──この身体はもう、悪魔のモノだった。
心が受け容れなくたって、悪魔が何か突っ込んだら、身体は受け入れるしかないんだ。
あとは……そのあとが、問題なんだ。心が───折れてしまわないか……
……なんで、こんな意地を張ってんだろ。
チラリと頭を掠めた。
こんな酷い仕打ちを受け容れて、負けないつもりでいる。
どうしても、負けたくないんだ……
「あっ!」
蓋をしていた指が、中に入ってきた。腰が揺れて、そこを締めてしまう。
「……凄い締まり。ちゃんと呑み込んでね」
そう言うと、中指を根本までぐいっと突っ込んだ。
「はっ…! ああぁ!」
もう声も抑えられない。何かされるたびに嬌声を上げてしまった。中指が、内壁を擦り上げる。
「あぁ! やめっ!……」
「まだまだ」
楽しそうに言いながら、指を引き抜くと、今見せられた小さな丸い物体を、変わりにあてがった。
「───!!」
問答無用にそれは、俺の中に埋め込まれた。
「───っうああぁ!!」
肉壁を引き吊らせながら入ってくる。───硬い…。気持ち悪い異物感。排泄欲が、強引に押し返す。
反発しあいながらも、押し広げて、突っ込まれた。
「くぅ……」
それ全部を俺の中に呑み込ませ、さらに指を入れて奥へ奥へと押し込まれた。
「あぁっ! あぁ……!」
俺はただ叫んだ。受ける刺激は、本当にそこだけで渦巻いた。
手足のどこへも疼いていかない。
ローターに、指に、肉壁が吸い付いた。蕾や腸壁がそれだけで生きているみたいに、鼓動し、痙攣していた。
「あッ、はぁッ……」
「うん、くわえ込んだ。むちゃくちゃ締まってるよ。気持ちいいでしょ」
呑気な声で喋っている。その口の端が、また上がった。
「気絶しちゃっても、起こすよ」
「!?」
押し込んだ指をそのままにして、コードの反対の端に付いていたリモコンのスイッチを、押した。
「ひぁ!?」
俺の中で、それが暴れ出した。前のポイントにあたり、勃っているモノを悶絶させる。
「───ああぁ!!」
目の前でチカチカと何かが飛び散る。初めての感覚に、俺は困惑した。なんだこの動き…! 細かい振動が、休むことなく暴れ続ける。
「あッ、あッ…」
腰が跳ね上がり、咥えている指を、一心不乱に締め続けた。後ろを締めるたびに、前のモノが踊る。
「はァッ、はァッ、はァッ………!!」
ドクンと、血管が波打った。イったときのような快感が、背中を何度も何度も突き上げる。
「ひぁああ!」
漏れる叫びは、言葉にならない。俺はもう、快楽を受け容れて喜ぶだけの、人形になっていた。
腸内で暴れるローターが、何度でも俺を快感の絶頂まで持って行く。
搾っても搾っても、下腹部は疼きを解消しない。あんまり激しすぎて、俺の意識は途中から飛んでしまった。それでも身体は喜び、痙攣し続けていた。
「かつはる……かつはる」
「─────」
頬を叩かれ、呼ばれる声に、意識を取り戻す。霞む目に、悪魔の顔がぼんやり浮かんだ。
「────っ!」
反射的に喉が引きつる。身体もビクンと痙攣する。
───あっ!
俺は状況を思い出した。
まだ、まったくあのままだった。手も足も、拘束されたまま。ただ、指は抜かれ、ローターは止められていた。
「言ったでしょ。気絶しても起こすって」
意識が戻った瞬間から、身体中が熱を持った。後ろの感覚も息づき始めた。
咥えた込んだローターの電源コードをはみ出させて、伸縮を繰り返している。腰が熱く疼いている。
注入された薬のせいで、根本を縛られている前のモノは、露を垂らし続けていた。
触ってくれと、刺激を欲しがって啼いている。
「………はあっ…」
直ぐさま熱くなった身体に、呼吸がままならなくなった。
「どお? 辛いでしょ?」
悪魔が俺を覗き込む。
「いいでしょ、それ」
俺は目を反らし、荒くなる呼吸にまた、気が遠くなる気配を感じていた。
「……こうなったら、根比べだね」
溜息を付き終わると、蕾に当てた指を小刻みに揺すってきた。
「ぅあぁっ!」
俺もまた仰け反った。オッサンは本当に止める気配を見せない。
はあっ、はあっ、はあっ、……
広げ続けている股関節が痛い、曲げっぱなしの膝も痛い、引っ張られてる手首も、痛い。
でも…でも……それ以上に………
「んあぁ! やっ……おっさん……」
急に指が外された。そしてコードがはみ出てるそこに、悪魔のシンボル……オッサンの熱い滾りがあてがわれた。
「ひっ! ……ああぁぁ!!」
ずぶずぶと入ってくる。蕾を引っ張り込むように擦って、反発して戻った窄まりをまた道連れに、押し込んでくる。
その度、前で括られて揺れているものが、ズクン、ズクンと身悶えた。
「くぁっ……!」
入り切ったおっさんは、じっと動かなかった。
「………はぁっ」
霞む目で、その姿を捉える。
「んんっ!」
急に唇を塞がれた。舌を突っ込みながら、腰を動かし始めた。
………あっ! ………凄い!!
出ては入ってくるモノの重量感が……
打ち付けてくる衝撃が……!
「んんッ────!!」
────熱い!
熱い、熱い! ………
オッサンの肉棒は、俺の肉壁を焼き焦がした。
「名前で呼んで……呼んで!」
その声も熱い楔となって、俺を穿つ。
自分の中も、オッサンも、熱くて……熱すぎて燃えて溶け出すかと思った。