chapter1. break out- 闇の幕開け -
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 4
 
 ねちっこい愛撫がいつまでも続いた。
 擦り上げて、刺激を高めたりはしない。舐めて、吸って、そこだけが熱くなるような、触り方をする。
「く……、んっ」
 息継ぎの合間に、喘ぎが漏れる。心とは裏腹に、悦び出している身体に嫌悪した。
 ヤツは時々口を離しては、俺の顔を満足そうに眺めた。そして、嗤いながら言った。
「克晴の身体、僕はよく知ってるよ」
 胸や腹を這い回っていた手が、後ろの一点に向かっていく。
「!! ……やめ……、やめろッ」
 強がってみても、出てくる声は泣き声だった。蕾にあてがわれた指を感じた途端、俺の腰は跳ねた。
「あぁッ……!」
 背中を反らせて、震えた。指がそこを押し上げてくる圧迫感。
 そして、挿入感。
「…んぁッ!」
 俺の露も手伝って、強引に挿れられた。中でめちゃくちゃに蠢く。
「……っ! ……やッ…」
 首を横に振って、最大限の抵抗を示す。唇をギリっと噛み締めて。
 もうそれしかなかった、声さえも俺を裏切る。叫びはよがり声に変わってしまった。
「克晴……声、出してよ……」
 俺からやっと口を離すと、顔を上げてそう言った。
「その声を聴いていないと、僕、寂しいよ…」
 片手を伸ばして、顎を掴んできた。俺は歯を食いしばって、その手を振り払うように首を振った。
 
 絶対…何があったって、俺は屈しない。こんなヤツに負けない!
 憎しみと怒りを込めて睨み付ける。既に荒い呼吸は、身体と同じで熱くなっていた。
 
「……そう」
 顎から手を離して、ヤツは項垂れた。
「わかった。…ふ……“自分だけ気持ちよければイイ”って……?」
 首を軽く横に振って、呟いた。眼が暗い光を帯びる。
「…はは……それ、いいね」
 そう言うと、後ろの指も抜いて、俺の両足を開いて肩に担いだ。
「………っ!」
 急激な痛みと圧迫感。指なんかとは比べ物にならない太い肉棒が、俺をこじ開ける。
「痛っ!………ぁあッ」
 奥まで強引に押し込むと、すぐさま動かし始めた。痛みと疼きが同時に襲ってきた。
 腰をしっかり掴まれて、激しく打ち付けられる。
「んんッ……、く……ッ!」
 パンパンと肉をぶつける音、腰骨が軋むほど激しい。
 突かれる度に内臓が擦られて、熱くなっていく。
「あぁ……、はぁッ……」
 つい、声が漏れた。
「……克晴」
 胸の尖りをまた吸われた。
「はあぁッ!」
 腕が頭上に上がっているため、普段よリキめない。余計に敏感になっていた。
「やっ…、もういいッ!」
 首をブンブン振った。握り拳も震わす。
「ダメだよ。これはもう、始まってしまったゲーム」
 悪魔が熱い息を俺の耳に掛けながら、囁いた。
「もう、僕が行きたいとこまで、とことんヤル。僕が満足するまで、許さないよ」
 そう言うと、さらに律動を早めた。
「あ、あぁ……っ」
 俺は声を抑えられないで、身体を揺すられるたびに、嬌声を上げた。
 コレは……この感じは、……こないだと同じだ。
 俺の気持ちを待たない。熱を解放するチャンスが、俺にはない。
「んんんっ!!」
 俺がイキそうに高まってる最中に、腸内で熱が弾けた。
 熱い液体が俺の中に放出される。当然、止まってしまったピストン。
「………はぁ、……克晴……気持ちイイね」
 耳元で囁かれた。
「!!」
 俺の身体は泣きそうな程、悲鳴を上げていた。それを承知の上で、ヤツはまた動き始めた。
「ちょっ……、待てよ!」
 俺は焦った。いくら何でもまた、アレをやろうってのは無理がある!
 河っぺりで青姦されたときと同じ……挿れたまま、2回目を始め出すなんて。
「待たない。克晴、イきたきゃ勝手にイっていいんだからね」
 動きながら、そう言って笑いやがった。その悪魔は。
 高まったままの俺は、すぐさま反応し出す。腹と腹を擦るように腰を動かしてくるせいで、俺のも擦れた。
「ん、はぁっ……」
 俺の声に、ヤツの芯が一際硬くなったのが分かる。異物感が強くなった。
「………!」
 俺もまた高まっていった。
「克晴………克晴……」
 頭を抱え込まれて、呼ばれ続けた。
 
 ……あッ!
 俺は恐怖した。イきそうだ……! でも、ヤツの様子はまだまだだ。
「や……ちょっと……」
 ストップ、と言えなかった。
「あっ、はぁぁ……!」
 後ろを出し入れされたまま、俺は白濁を飛び散らせた。
「やめ……う…、…やめろっ…」
 動きを止めて欲しかった。
 絶頂と吐精感と、入れ替わりに来る倦怠感。そんな余韻もなにも、あったもんじゃない。
 ハア、ハア、ヤツの息といつまでも腰を打ち続ける音が、部屋中に響く。
「ん…、んんッ…………」
 俺は終わってんのに。もうすっかり疼きも解消して、高まりも収まってるのに。
 擦られて出入りするそこが、ただ痛かった。首を横に振って痛みを逃がす。噛み締めた下唇が、切れるかと思った。
 不意に、今達したばかりで萎えている俺のを、掌中に包まれた。
「!」
 芯もないそれを、腰とは違う動きで扱いてくる。
「やっ! …やめろ、俺はもういい!!」
 ぞっとして叫んだ。なんだこれは!
 終わらない悪魔のループ。今度はヤツがイこうとしている。俺を喘がせて。そして俺の身体も、それに応えようとしている。
 
「……あぁっ!!」
 
 
 
 ……何回イかされたか、分からない。
 それ以上に、どれだけ掘られ続けたか、もっと分からない。
 
 ヤツは、時々俺から出ては、また入ってきて動き続けた。
 俺はあまりに長い責め苦に、最後は意識を手放した。
 


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