chapter8. awakening... oblivion time 忘却の扉
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「もうちょっと、強い刺激をあげる」
「!!」
オッサンは、ずっと添い寝するように俺の横にいて、指だけ動かしていた。その身体を、俺の足の間に移動させた。
「…………?」
不安になる。
……なに、……する?
焦れた快感に、頭は麻痺している。霞む視界で、オッサンを追った。
腰の下に手を差し込み、持ち上げられた。
「ぁ……」
舌が入ってくる。
「んっ、……ぁあ!」
ぬめった舌が、蕾の内部で蠢く。俺は、その舌も締め付けてしまった。
「ん……克晴。それ、いいね」
もう一度挿れてくる。
「ぁあ……」
俺の後ろは、何度でも舌を締め付けて、吸い付いた。
「ぁ…、………んっ」
舌が蕾から出て、その上に這い上がってきた。
蕾の堅さを確かめるように、淵をぐるりとして、少しずつ、少しずつ、前の方に上がってくる。
「んっ……」
ビクンと腰が跳ねた。
袋の裏筋に辿り着くと、その付け根を執拗に舐め始めた。同時に蕾に指があてがわれた。ゆっくり押し込まれる。
「ぁッ……ぁッ……」
さっきより硬いモノが、奧に奧に入ってくる。
「んん────っ!」
俺は首を振って、嫌がった。刺激が強すぎる。身体はすぐ、頂点を目指そうと熱くなる。
「あっ………あぁっ、…やぁ……」
体内の一点を見つけ出し、指がそこを探る。その間も唇と舌は、俺の屹立をいたぶった。
縛られた根本…袋…竿…と、舌先を尖らせて、這い上がる。オッサンの熱い息まで、感じた。鈴口まで辿り着くと、湿った唇で全体を覆われた。
「ふ………ん……」
割れ目に舌先を食い込ませながら、唇の柔らかい部分で竿を上下する。
そこから生まれる快感が、後ろの指が生み出す刺激に絡まる。
俺は膝を曲げ、オッサンの両側にしっかり足を付けて……
高々と自ら腰を上げて、その責めを受け入れていた。
────っ!!
それでも、腕に力を入れて、俺は首を振り続けた。
───やめろ! 俺は感じたくない!
……こんなの、うそだ!
───あッ
イきそうな高まりが、全身を襲う。
どんなに嫌でも、身体はそれを求める。
「くぅ……!」
後少しで、すべてが解放される……そんな上り詰めていく快感の中で、いきなり指の動きが止まった。
咥えた唇も舌も、生温かいだけのものになった。
「はぁ………」
顎を反らして、長い吐息で、渦巻く快感をやり過ごす。
その顔を、オッサンが覗き込む。一言、“お願い”しろと、その眼は言う。
イきたい……イきたい……イきたい……! イかして!!
身体が叫ぶ。入ったままの指を、これでもかと締め付ける。
………でも、俺は──
「……ハァ…」
潤んだ目で、オッサンを睨み付けていた。
「……いい加減、強情だね。……克晴」
指はそのまま、口だけ外してオッサンは俺を見た。
「もう、何度イっててもおかしくないほど、触ってるのに……」
竿の裏を人差し指が滑る。
「……んっ」
「こんなに感じて、こんなにイヤラシイ露を垂らしてさ」
濡れた指を俺に見せる。
「………っ」
「なんでかなあ。……克晴は、けっこう好きだったはずだよ」
………?
「あれだけ、身体を弄くってたんだもん。僕は知ってたよ」
────!!
やめろ……それ以上、言うな!
凝視したまま、嫌々をするように、首を振った。オッサンは、嬉しそうに眼を細めた。
「特に車で、膝に乗っけてここを、こうしてるとき……」
「ぁ……あぁ!」
不意に体内で指を動かされ、俺は仰け反った。
「うぁ……やぁっ……」
「ヤじゃないはずだよ。ちゃんと感じて……」
「んんっ……」
「そうそう。僕が言うと、こんな風に締めてくるんだ」
────やめろ! やめろ! 聞きたくない、そんなの!
「かわいい克晴。僕が意地悪して指を止めちゃうと、ずっとがまんしてそのままでいるんだけど……。だいぶ経ってから、恐る恐る顔を上げて、僕を見るんだ。首を捩って、上目使いにさ……」
「…………」
動き続ける指のせいで、息が上がる。
「“して”って、その目は言うんだ………“続きをして”って」
─────ッ!
俺は目を瞑って、言葉を追い払った。
聞かせるな、そんなこと! 俺は、覚えてない!
「あの頃の克晴は、もうちょっと素直だったよね」
グイと、中の一点を突き上げてきた。
「っ、……あぁ!!」
刺激に勝てない。嬌声は、求められるたびに上がった。
「そんなにイヤなの? ……僕にお願いするのが……」
悲しそうに聞いてくる。俺は、ヤツの眼を見た。
そして……初めて頷いた。
「────!!」
眼を見開いて、口も開きっぱなしで、オッサンは顔を真っ白にした。
「克晴……」
中の指が激しく動き出す。オッサンの唇はまた、俺にしゃぶり付いた。
「………くっ」
腹いせのように擦り上げる。
「克晴……克晴……」
口が離れるたびに繰り返す。
「ぁ……はぁ……!」
眼の裏がチカチカする。もう何度目の絶頂の予感だろう。
……いく……いく…今度こそ──!
「ん!………ぁ……」
絶望感。
……また、止まってしまった愛撫と律動……
「ふ………」
悔しくて、声が漏れた。
辛い……辛いよ………
どれだけ繰り返すんだ、こんなの…………