chapter14. heartless love -冷たい愛-
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「見せて」
車に乗ってきた天野君は、座り心地が悪そうに、身体を斜めにしていた。
ホテルのベッドに寝かせると、早速確かめてみた。下を全部脱がせて、脚を開かせる。
「……………」
はぁ…という吐息と共に、顔を紅くした。
その身体はすでに火照っていて、小さな棒を咥えたそこは、きゅっと締まっていた。
白い内腿とお尻の谷間で、綺麗なピンク色がそこで呼吸をしているように収縮している。その度に動く、はみ出たディルドの端が、すごくエッチだった。
「ずっと、入れてた?」
「……はい」
3日間、入れっぱなしということになる。
玩具を抜いて、入れ替えに唾液で濡らした指先を、そこに埋めてみた。
「ん……あ、せんせ……」
腰を捩って嫌がる反応の割に、するっと2本の指が入った。
「……いい子。ちゃんと言いつけを守ったね」
震える肩を抱き締めて、その努力にぼくも胸を熱くした。
「自分で挿れなおし、できたんだね。ちょっと心配だったんだよ」
「…………」
恥ずかしそうな顔で俯く。涙目になって、横を向いてしまった。
顔を覆う柔らかな髪の隙間で、長い睫が濡れている。
「天野君……」
嫌がりながらも、ぼくの言うことを必死になって聞く。
たとえ恐怖で縛っていても、ぼくの天野君だった。
「……挿れるよ」
指と入れ替えに、ぼくの熱くなったものを押し当てる。押し倒したまま、シャワーも浴びずに繋がった。
「ゃあ……ぁあ…ん……」
「天野君……天野君………好きだよ……」
ハァッ、ハァッ……ぼくたちの息が絡みあう。
もっともっと……誰も触れていない天野君の聖域に、ぼくが……そうして初めて本当に、ぼくの…ぼくだけのものになる。
この夏休みの間に、完全に作りかえてしまいたかった。
「ぁん……いく……いきそう…先生……」
「ぼくも…一緒にいこうね……」
小さなペニスを手のひらに包んで、扱いてあげた。
「んんっ……ぁああッ……!」
した後はいつも泣いてるから、お風呂に入れてあげて、また抱きかかえた。
“もう一回”
その言葉を、会うたび何度言っているだろう。
ずっと一緒にいたくて、呼び出す日は朝早くから夜遅くまで、彼を拘束した。
「……これ、いつまでやるの?」
帰さなきゃいけない時間になったので、四つん這いにさせた。
不安げにぼくを振り向いて、か細い声を出す。
「サイズは4段階。夏休み中には、終わるよ」
言いながら、最初のより少し太いディルドを、可愛い蕾にあてがった。
「ちから、ぬいて」
「……んっ…ぅあ……」
たっぷりローションを塗ったそれを、ゆっくり押し込んでいく。
「ん……あぁ……あッ……」
さっきまでぼくを受け入れていたそこは、比較的すんなりと飲み込んでいった。
でも天野君は、真っ青になったまま、首を振り出した。
「先生……や……やだ、これ……」
「昨日までのより、ちょっとキツイね」
シーツに崩れ落ちた身体を、後ろから抱き締めた。
「いい子でいれば、すぐ慣れるから。でも、サボるとあとで辛いからね」
返事をする前に、舌を絡め取って深いキスをした。
「んん……」
可愛い声を漏らしながら、涙を流す。
イヤなんて、言わせない……
小さな身体。ふわふわの髪。紅い唇、大きな濡れた目。みんな、みんな……ぼくの天野君。
ぼくの天使。もう、克晴のじゃない。ぼくのだ。
天野君……
はやく、わかって。
その身体で、その心で………
天野君の頑張りに期待していたのに、次の3日後はちょっとダメだった。
「天野君……ずっと挿れていなかったね?」
「…………」
ぼくの睨み付けに、怯えた顔は小さく顎を引いた。
この間と同じように、辛そうに助手席に乗り込んで、ベッドで脚を開いた時は、そこにディルドが収まっていたけれど。
「キツイよ、出入りが。ずっと挿れていたら、もっとするりと抜けるはずなのに」
「……ん……や…」
抜こうとしたディルドがぎゅっと咥え込まれたまま、ちっとも滑らない。
取り出すのには、揺さぶりながら、そこを濡らすしかなかった。
玩具と蕾の隙間に舌を這わせて、潤いを与えていく。舐めるたび、小さな悲鳴が上がった。
「せんせ……やぁ……あぁん……」
抜いた後、すぐにぼくのを挿れてみた。
「……きついね」
この間より締まってる。きっと2本目は直ぐ抜いてしまって、それっきりだったんだ。
「サボったら、あとが辛いよって言ったのに……」
「あ…あぁ……せんせ……ごめんなさ……許して……!」
仰け反りながら、喘ぎ出す。
「なんで? どうして挿れ直さなかったの?」
抽挿が、つい乱暴になってしまう。
「ごめんなさい……でも、やだ……あれ……僕、やだぁ……」
泣きながら、切れ切れに言う。
……大きすぎたかな。急ぎすぎたのかもしれない。
あんなに、何も言わずに我慢してきたこの子が、こんなにもハッキリとNOサインを出すのは、それだけ嫌だということだった。
「わかった。ごめんね……」
腰の動きを緩めながら、シャツを捲り上げて、小さな胸の飾りを舐めてあげた。
「……あっ」
「宿題は出さないから、ぼくと居るときに頑張って」
唇を啄み、首筋から腰までを指先で撫で下ろす。
感じるように、悦ぶように、高めてあげる。蕾が緩むのを感じては、奧へ入った。
「先生……せんせいっ……いく……」
時々扱いてあげて、辛くなりすぎないように吐精させた。
「いいよ……天野君……イッて……」
扱きを早めて、先端への刺激も指先で与える。
「ああぁ───ッ!!」
女の子の悲鳴のような声を上げて、何度も絶頂を迎えた。
「……はぁ……はぁ…」
頬を紅くしながらグッタリしている顔が、堪らなく愛しい。
達した後に、流す涙も……
それは、相手がぼくなのが悲しいという、証。
「天野君、この間……ぼくに訊いたよね」
震えたままの、熱い身体を抱き締めて、耳に囁いた。
「“僕のどこがすきなの?”って」
「…………」
顔を覗き込むと、霞む目でぼくを見つめて、こくりと頷く。薄く開いた唇から、浅い息が漏れている。
「……君の全部。そう答えたけど───本当に、全部なんだ」
「……………」
「身体だけじゃない。この涙も、開かない心も………克にいを忘れない君が、どうしても……好き」
それは、ぼくの心が漏らした言葉だった。
柴田先生と話していて、気が付いたこの想い。
ずっと、一方向しか見ない彼に、惹かれていた。その目を、ぼくに向けさせたくて……
「ぼくを見ないその心……それが欲しい」
「……………」
虚ろだった濡れた目に、光が射した。
下唇を噛んで、きゅっと結んで……
じっと、ぼくを見る。
「………じゃあ……」
呼吸さえ止めていた唇が、ゆっくりと動き出した。
「……僕が、先生を好きになったら…………僕を、嫌いになってくれるの?」
──────!!
真っ直ぐに、ぼくを見据える。真っ赤な目で……
放ってきたその言葉は、直ぐには理解出来なかった。
「……なに、言ってるの」
抱き締めて、“天野君が好き”って……、譫言みたいに呟き続けた。
「……………」
抱き締められたまま、可愛い頬にも、涙の筋が途切れなかった。